米国の垂直離着陸輸送機「オスプレイ」
持病が治らぬうちに新しい傷ができる――。3年近くもめた駐日米軍普天間飛行場の移設問題がいまだ解決されない中、最近になって、日本政府に新たな面倒が生じた。具体的に言えば、24機の「オスプレイ」(ミサゴ)がもたらす苦悩だ。
「2011会計年度海兵航空計画」にもとづき、米国は2012年10月-13年10月駐日米軍普天間飛行場に2個中隊、24機の垂直離着陸輸送機オスプレイを配備する。だが、4月と6月に2度、墜落事故を起こして2人が死亡、7人が負傷したことから、オスプレイが配備される予定の山口県と沖縄県はいずれもこの危険な戦闘機の受け入れを拒否。沖縄県では大規模な市民集会とデモが起きた。現地の反米感情は再び高まり、日本政府は「2つの難しい」立場に陥った。
日本政府は米国に対し、墜落事故の原因を早急に究明するとともに、配備計画を具体的に実施する前に、日本国民に満足できる説明をするよう期待すると表明したが、米国は行動に出なかった。米国側は、オスプレイ輸送機に設計上の欠陥は存在しないと主張する一方、オスプレイの配備計画は変わらず、しかも従来の10月から7月に前倒しするとの強い姿勢を示した。
では、米国が沖縄に急いでオスプレイを置こうとするのはなぜか。オスプレイは日本に何をもたらすのか。