文=宋立煒・西安陸軍学院
資料写真:米軍の沖縄基地
米国防総省はこのほど、現在配備されているCH-46型ヘリの代替として、沖縄普天間基地にオスプレイを2012年に配備すると発表した。同時に米議会は、経費不足を理由に、普天間基地移設を暫定的に一時停止することを決めた。米政府と米軍のこの一連の措置により日米が06年に締結した普天間基地移設計画は遠のいた。
長年にわたり、米軍が沖縄にもたらした訓練事故、刑事事件及び戦闘機発着による騒音に現地市民は悩まされてきた。市民と自治体の圧力に押され、日本政府と米国は20年近く苦難に満ちた交渉を行ってきた。だが、今日に至っても、米軍が沖縄に設置した数多くの軍事基地は基本的には減っていない。米軍が長期にわたって沖縄に駐屯するのは主として、沖縄の地理的重要性と日米両国の西太平洋での戦略的利益と密接に関係する。
◆第一列島線の核心が放棄できない理由
沖縄の地理的位置
沖縄島は九州南部に広がる沖縄諸島の本島であり、同諸島で最大の島である。周辺の地理的環境から見れば、沖縄島は日本列島の西南端に位置し、日本本土を防衛する「西南の大門」であり、北端は東中国海に臨み、上海から800キロ余り。端は広大無辺の西太平洋に面しているため、沖縄島は東中国海と西太平洋のグアム島基地をつなぐ海上ルートの中枢でもある。西端は中国の台湾島とフィリピン・ルソン島に近く、台湾からおよそ640キロ。台湾島と台湾海峡、バシー海峡など関心を集めている地域や海上航路を効果的に監督、制御することが可能だ。
米国の戦略上の重心がアジア太平洋地域にシフトするに伴い、朝鮮半島と台湾は米国が推し進める東アジア戦略の主要方向となっており、米国の「第一列島線」はまさにこの関心を集める地域の最前方にある。東北端は朝鮮半島にある韓国と日本本島、西南端は台湾島と台湾海峡、沖縄島はその中間地点にある前世紀末に米軍がフィリピンから撤退したことから、第一列島線の役割は多少弱まり、またグアム島を核心とする「第二列島線」は東アジアの敏感な地域からかなり遠いため、沖縄の米軍基地が、米国が東アジア地域問題に関与し、素早い反応を示す上で最も有利な前哨、先鋒であるのは間違いない。
また、防衛力が絶えず増強され、外交的にも平和憲法の枠内から出る試みが次第に頻繁になるにつれ、日本国内では防衛強国、世界の大国になることを求める声が以前より日ごとに高まっている。日本のこの本分をわきまえない盟友をしっかりと米国のグローバル戦略という戦車に縛りつけ、沖縄に米軍基地を設置したのは、日本南端の命脈を押さえ込んで、米国の移動配置に従わざるを得ないようにすることを意味している。
◆事をまるく収めるのは内的原因から