◆事をまるく収めるのは内的原因から
資料写真:米軍の沖縄基地
沖縄の市民と自治体は日本政府に米軍普天間基地を沖縄以外に移設させるよう強く求めており、全国を挙げての駐留米軍に反対する抗議の浪は日増しに高まっている。だが、日本の歴代首相と内閣は常に国家の安全を口実に、米軍の沖縄での軍事的存在を認めてきた。日本政府が国内世論を顧みずに事をまるく収めようようとするのは、いわゆる「外的脅威」を取り除き、日本の防衛力を増強する企てと直接的に関係する。
先ず、東アジア情勢が緊張と複雑さを増すとともに、日本政府は国家の安全が3つの面の脅威にさらされていると考えていることだ。朝鮮と中国、ロシアだ。朝鮮は日米韓3カ国同盟にとって現実的な脅威である。一方、中国とロシアは日本との間に領土・領海紛争を抱えており、2カ国の絶えず増強される国力、強大な軍事力は日本の将来にとって潜在的脅威である。現在、国家の安全を米国の弾道ミサイル防衛システムと核兵器による保護の傘の下に置いてこそ、国家の安全は保証されると日本政府は考えている。
次に、日米軍事同盟の関係が日本の防衛力の増強と、自衛隊の海外派遣に向けて自由な扉を開いたことだ。まさに米国が黙認するように、自衛隊が平和憲法の制約を突き破ってこそ、隊員の海外派遣は実現される。
第3に、米国のスーパー大国としての地位と世界をリードする軍事力に及ぶ者がいないため、日本は米国の安全への保護を必要とするだけでなく、この盟友が急に態度を変えて相手にせず、日本自身の安全が脅かされるのを恐れていることだ。
比較して言えば、米軍の沖縄市民に被害を及ぼす事件が日本にもたらす損失を、日本の国家の安全と防衛力の拡張により得たものと比べると、損失のほうがやはりずっと少ない。これも日本が長期にわたる米軍の沖縄駐屯に同意した根本的理由である。
今後のかなり長い間、米国は引き続き在日米軍基地の数を維持するだろうが、国民全体の心の中にある不満をいかに和らげるかが、日本の指導者が直面する1つの難題になると予想される。