沖縄の観光市場を救うため、5月10日、上原良幸沖縄県副知事が首相官邸、国土交通省、観光庁、外務省及び政権を握る民主党本部を訪れ、関係省庁に対し「沖縄県内で実施する中国人観光客のランディングビザの手続き」の申請と、沖縄に観光に来る中国人に対し査証免除を実施するという関連措置方案を提出した。これに対し、政府側も段階的緩和策を検討するとした。これは、今後中国人の沖縄観光が「ノービザ」になる可能性があることを意味する。
その実、日本政府は震災前の時点ですでに沖縄「ノービザ」政策を検討していた。地震発生後、沖縄の観光客は激減、これを受け国民新党の下地幹郎幹事長は直ちに枝野幸男官房長官に対し、中国人向けの「ノービザ」政策を実施するよう求めた。4月初めには福山哲郎副官房長官も、中国人の沖縄観光に対する「ノービザ」制度で経済低迷の局面を打破できるのではないかと訴え、2名の官房長官は検討する方向で一致した。
沖縄が政府に対し再三にわたって中国人観光客の査証免除を申し出るところから、その焦りが見て取れる。日本は震災後、観光業がもろにその影響を受け、北は北海道から南は沖縄まで日本全国の観光地の外国人観光客はほんのわずかしかいなくなってしまった。統計によれば、4月に日本を訪れた外国人観光客数は去年の同時期の3分の1、中でも中国人観光客は半数にまで落ちているという。中国人観光客一人当たり一日平均12,000元を消費すると考えて計算しても、その損失額は7.5億元にもなる。
これまでの中国人観光客が押し寄せたことによる治安の混乱や違法滞在などは、もはや人々の議論の焦点ではなく、どのようにして再び中国人観光客を取り込むかが急務となっている。このため、日本政府は立て続けに観光庁などの関係役人を中国へ送り、大々的な売り込みを行っている。その効果もあり、5月のゴールデンウィーク、九州では中国人団体客の第一陣を迎え、西安など様々な地域からの団体が九州や関西地区を回った。海外からの観光客が激減していた中、日本の各地方の指導者たちもみな空港へ出向き「熱烈歓迎」の横断幕を手に観光客たちを迎え入れ、その後、宴席などへも出席し、歓迎ムード一色となった。