2010年11月1日、当時のメドベージェフ大統領が南千島列島(北方四島)最南端、日本本土から最も近い国後島を突然、視察した。同地域を自ら訪問、視察した国家元首はロシア(ソ連時代を含む)の歴史上初めて。
その後、ロシアでは多くの政府高官が相次いで北方四島を視察し、政治や経済、軍事面などで大統領主導のさまざまな整備に着手した。
ロシア側が立て続けに日本のこれら四島に対する敏感な神経を逆なでしたことで、自然、「許せない乱暴な行為だ」と、日本側はしきりに抗議するようになった。だが、モスクワはきまってすぐさま、「われわれは千島列島に疑う余地のない主権を有している」とか、自国の元首や高官が自国の領土を視察することに、日本人は「干渉できない」などと応じた。
日ロ間の長年の懸案である領土紛争は、両国の政界、民間や世論によってこのように絶えず応酬を繰り返し、この過程で、ロシア側はずっとこの「外交ショー」で絶対的な主導権を掌握してきた。ロシア側は望めば、いつでも好きなやり方で、南千島列島でその力を見せることができる。また、ロシア側がこのように「パッと見せる」ことをすれば、日本側はいやでも思い切って口頭で抗議せざるを得ない。行動では、北方四島を「空中から見下ろす」か、「海を隔てて眺める」ことで応じることが最も目立つ。
領土問題にこだわる日本に対応するため、ロシア側は日本側に対し、同地域を共同で開発し、対抗するのではなく、そうすることで双方がともに利益を受けることを提案した。日本が領土の主張を放棄し、経済協力を集中的に発展させることが条件だ。日本側が受け入れられないのは当然である。