このところ、中国と日本の釣魚島(日本名・尖閣諸島)の主権問題をめぐる紛争はエスカレートしており、武力衝突に進展、変化する可能性もある。釣魚島問題の背後で、米国の影が揺れ動いている。シンガポールの中国紙「聯合早報」が7月20日伝えた。
中国は主権に対して確固たる立場を取っており、最低の線を譲ることはないが、東南アジアの安定と発展という大局を進んで損なおうとは決して考えていない。中国の台頭にいま直面する日本は確かに心理的にややバランスを失い、しかも人口、産業や基盤施設の老朽化といった差し迫った国内問題に直面している。ロシアとの北方四島に関する争いの解決への期待も不透明だ。そうしたことから、右派の政治家があれこれと問題を引き起こしている。
米国にとって、日本の釣魚島やいわゆる「第一列島線」における中国の発展をけん制する動きを利用することは、なかなかの選択であるに違いないが、そこには、日本を利用して中国をけん制する一方で、日本の右翼の力も失わせないという両者のバランスをどのように取るかという問題がある。
19世紀末から今日に至るまで、中国と日本の交流は、言い争いはあっても中断したことはない。だが、ある重要な面で明らかにバランスを失っている。即ち、中国の日本に対する認知と理解が、日本の中国に対する研究と探求にはるかに及ばない。このアンバランスがきわめて突出しているのが、中国の日本の戦略に対する姿勢が余りに粗忽で、精細さに欠けていることだ。そのため常に無の矢を放つことになり、倍の労力をかけながらその半分の成果しか得られない。
日本はまさに精細さと精確さで勝利を収めてきた民族である。第2次世界大戦中、中国軍が常に発見したのは、ろ獲した日本軍の描いた中国地図が、中国自身の地図に比べより細緻で精確だったことだ。現在、中国は釣魚島問題をめぐって日本に対応しているが、やはりその戦略は余りにも漠然としかつ受動的であり、対処性に劣り、効果は思わしくない。まず、今回の危機は結局のところ、「だれがだれの魚を釣りたいのか」ということだ。大半の中国世論は、米国の思惑は、中日の争いを引き起こして漁夫の利を得ることにある、と見ている。こうした判断は主に、当時、米国が意図的に釣魚島を日本に渡して管轄させたため、その後に中日の間に紛争を招いた、というのがその根拠である。実際、70年代、中米関係はまだ敵対的な状態にあり、その時代に、米国が釣魚島を中国大陸あるいは台湾に返還する可能性はあっただろうか。