最近の釣魚島をめぐるこの具体的な危機において、筆者は、主に右派の代表的な人物である石原慎太郎氏が波風を立てることで、中日関係や中米関係、アジア太平洋地域の安定と発展という大局を乗っ取ろうと企んでいるのではないか、と考える。石原氏の歴史をひも解くと、氏はまさにポピュリスト、人民主義者であり、従って、釣魚島を奪おうと欲するのは米国のために花嫁衣裳をつくるためだ、というのはかなり想像し難いことだ。反対に、その打算はまさに米国のアジアへの再回帰を利用して中国の勢いをけん制し、火事場泥棒を企むものである。中米が仮にぶつかり合えば、それは石原氏にとって、最も他人の災難を見て喜ぶものであるのは疑いない。そうなれば、日本はいくつかの小島に行政区分し、中米という仲間割れしたこの2匹の大魚を釣り上げることができるのである。
こうした状況の中、中国側が依然、勝手気ままに日本を厳しく非難していけば、攻撃をぴたりと石原氏に向けて集中させることはできず、日本内部の世論を切り離し、日本内部及び日米の矛盾を激化させ、石原氏を孤立させて攻撃を加えるとの目的を果たすのは非常に難しい。逆に、より多くの日本人や世論を石原氏の側に押しやることになる。
米国はかなり日本の研究を重視していた。当時、太平洋上空において日本海軍の山本五十六大将を断固として打ち倒し、日本を占領した後、米国は意識的に天皇の罪を問おうとはしなかった。問うか、問わないか、そこに米国の日本を精確に制御した戦略的手段が体現されている。これらはやはり中国が十分に学び参考にする価値がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年7月25日