中国政府は近年、新たな中身を持つ「新シルクロード」の理念を提唱している。これは中国の外交の西進戦略という理論の根幹を成している。
100年以上前、清朝末期の中国は海と国境地帯の防衛という、2つの苦しい選択に直面した。この李鴻章と左宗棠の外交・防衛戦略の議論は、最終的に苦々しい結果をもたらした。「東進」は甲午戦争(日本名・日清戦争)の敗北と義和団の乱によって一瞬にして立ち消え、「西進」は新疆を取り戻し、イリの守りを固めたが、予想通りの理想的な効果を得られなかった。
100年以上が過ぎた今日の中国は、「東か西か」という外交戦略の岐路に立たされている。東は大洋に面した、中国で最も発展し富の集まる地域で、最も重要な貿易・輸送ルートだ。西は、「新シルクロード」を切り開けば、大きな潜在力を持つユーラシア内陸市場、幅広い戦略の余地を手にすることができる。もちろん、そこにはテロリストの脅威も存在する。
改革開放より、中国の外交の「東進」戦略は、十分に進められてきた。これと比べ、西進戦略は、開発の遅れにより制限を受けている。近年、西部の経済発展、国家安全などの重要性、外交の努力により西進ルートを切り開く必要性が示されている。20世紀末に創設された上海協力機構は長年の発展を経て、地域協力と地域事業の中で重要な役割を演じるようになった。中国政府は近年、新たな中身を持つ「新シルクロード」の理念を提唱している。これは中国の外交の西進戦略という理論の根幹を成している。
習近平国家主席は昨年9月に中央アジア4カ国を歴訪し、中国の「新シルクロード」の理念について説明し、「シルクロード経済ベルト」の建設を強調し、具体的に「新シルクロード」構想の2つの内容について説明した。(1)現代の条件の下、古代シルクロードの旅が残した観念と理念を広める。(2)中国と中央アジア諸国の鉄道・道路・航空・通信・送電網・エネルギーパイプラインの相互接続を推進し、現代的・多面的・立体的なシルクロードを創造する。李克強総理は昨年末に中央アジアを訪問し、その内容を補充し説明を行った。
習主席は今回の中央・南アジア4カ国歴訪で、まず上海協力機構のドゥシャンベ首脳会合に出席し、タジキスタンを訪問する。習主席は「新シルクロード」の構想を提唱し、中国と中央アジアの相互接続を通じて、中国西部の外交の空間を切り開く。