──北川先生はかつて中国日本商会の会長を担当なさっており、いまも副会長を担当なさっていますが、今の中国の投資環境をどうご覧になりますか。改善しなければならない点はどんなところでしょうか。日本企業が中国で投資する場合の注意点はどんな点でしょうか。
中国を取り巻く投資環境は5年、10年前に比べてずいぶん改善されたと思います。非常に投資しやすい環境になってきていると思います。問題があるとすれば、中国はまだまだ発展を続けている途上の国ということもあり、その法整備が不十分な部分もあって、今いろいろな整備をしようと進めています。ということで、チャイナリスクと言いますか、我々日本企業を含めた外資企業から見たときの一つのリスクは、投資を取り巻く企業にとっての法制度が非常に目まぐるしく変わるということです。これは外資企業にとって大きな問題になりますので、一つの問題点と言えます。
そして、事業を始めるに当たっては、すべてが許認可制になっているので、国だとか、省だとか、市の許可を取らなければなりません。これにやはり時間がかかります。5年、10年前に比べれば、ずいぶん改善されていますが、まだまだ他の国と比べると、相当長い時間がかかります。これをぜひスピードアップしていただきたいと思います。
それ以外に、中国の人件費もどんどん上がってきていますが、これも一つの問題かもしれません。でも、外資系企業も中国に投資する目的が中国の発展につれて、変わってきています。もともとは安い人件費も目的の一つで、人件費の安い中国で製品を作って日本へ持ち帰る、つまり、コストが安いということを目的に中国へ出てくる産業がほとんどでした。これが、中国のこのような産業に対する優遇策がなくなってきているのに加えて、中国市場が、市場そのものが飛躍的に拡大して、中国市場そのものがすごく魅力ある市場になったのです。今進出している外資系企業は現地で作って、日本、海外へ持って帰るという産業ではなくて、作ったものを中国国内の市場で販売する。こういう形態にどんどん変わっていっています。ですから、ますます中国に対する投資は増えていくと思います。