──人民元の対米ドルレートの上昇および現在中国国内のインフレが日本企業の中国での投資に影響を与えるか、という点について北川先生はどう思われますか?
人民元はドルに対して、どんどん強くなってきています。中国から見た場合、中国の輸出企業は打撃を受けます。ただ、今言ったように、我々進出している外資の業態が変わってきていて、中国で作ったものを持ち帰る、つまり輸出するというよりは、中国国内の市場で売るということになってきているので、人民元が強くなっていることの大きな影響は、すぐにはないと思います。
インフレは大きな問題だと思います。中国のGDPは10%以上で拡大しているので、ある程度のインフレは当然出てくると思います。従来の中国の1%、1.5%のインフレ率は2007年に4.8%になりましたが、単月ベースで見ると、2007年12月は6.5%、2008年2月は8.7%でした。温家宝総理は2008年のインフレ率を4.8%に抑えるとおっしゃっていますが、これは至上命令だと思います。これ以上増えると、いくらGDPが増えても、一般の方々の生活に大きな影響を与えることになります。もうちょっと厳しく言うと、経済自体が大きく発展しても、発展する経済の恩恵を全国民が等しく受けているかという点があると思います。中国の場合は、残念ながら国としては大きな発展を遂げていても、全国民がその発展の見返りとしての恩恵を等しく受けられているとはまだ言えません。つまり、まだ格差があります。これは今後の大きな問題だと思いますが、そういう中でやはり、インフレがあまり大きくなると、国民全体から見れば、非常に問題が大きいと言えます。でも、インフレは投資をする上であまり大きな心配事にはならないと思います。これからの中国の成長度合いとどの分野が成長していくのかというほうがより重要だと思います。