(三) 主導国は地域発展に大きく貢献し、模範となるべき
いわゆる模範とは、主導国は利益を前にした時に遠慮し譲ること、義務を全うし責任を担う際に中心になって貢献すること、規則の制定と原則の堅守で手本となること。
まず、主導国は積極的に市場を開放し、利益を前にした時に自発的に譲るべきだ。
周知のとおり、地域協力における市場参与許可をめぐる交渉、相手側に条件提示を行う際、地域の大国の行為に最も関心が集まる。具体的には、日本が主導的な役割の発揮を望むのなら、WTOの交渉でのうまく正確に計算し、繰り返し駆け引きするというやり方を東アジアの地域協力では行うべきでない。また、東アジアで日本は経済が最も発達していて、競争力が強いことを認識すべきである。日本が市場開放において注意深く、慎重になり、細かいことを気にすれば、地域内の発展途上国は市場開放にさらに慎重になり、最終的に地域協力で実質的な進展を得ることは難しくなる。そのため、日本は貿易、技術、取引、業界などの製品や資本の自由競争を妨げる壁、参入を妨げる公然のルールと暗黙のルールを自発的にすべて取り除くべきだ。すぐに廃止できない規則については市場化改革の日程を組むべきである。日本は関税の全体的な水準が非常に低く、表面上は非常に開放された国だが、実際は外からの競争を抑制し、妨げる多くの障害が存在し、その上役割を効果的に発揮している。要するに、地域協力の重大な利害関係に関して、日本が模範になれるかどうかは地域協力が成功するか失敗するかに関わっていくる。
東アジア諸国が日本の積極的な開放を最も望んでいるのは以下のことである。農業保護政策を先頭に立って完全に放棄すること、競争を抑制する各種の同業組合や商会が実施する暗黙のルールを率先して排除すること、取引相手の自由競争を妨げる各種の暗黙のルールを排除すること。例えば、トヨタ自動車の部品調達体系はほぼ閉ざされ、固定された取引相手である。東アジア自由貿易区の設立後、このような固定された取引関係をやめ、すべての東アジア地域内の自動車部品企業にも平等に取引に参加する機会を与えるべきだ。
そのほか、日本は各種の技術資格を持つ人材の自由な移動に関する規制を解き、地域内の人材が日本で自由かつ公平に移動し、就職できるようにし、「閉鎖的な入国管理政策」を改革し、将来的に一般労働者も自由に移動できるよう率先して進めるべきである。そうしてこそ、地域経済協力で実質的な進展が得られる。