中国は今年8月に日本を抜いて世界第二の経済大国となった。いま日本の不動産価格も1974年の四分の一の水準まで落ち込んでいる。
中国の台頭を目にして三菱東京UFJ銀行の計画顧問は、「円高のことを騒ぎ立てるだけでなく、問題解決を急がなくてはならない」と言う。
長きにわたって、日本はアメリカに追いつき追い越せの一心で努力をしてきた。ずいぶん前にそれを彼らはやり遂げたが、その結果は期待していたようなものではなかった。いまや、ドイツをはじめとする工業国家は日本を参考としてそこから教訓を学ぼうと考えている。つまり、日本が1991年に迎えた危機とそれに続く長期的衰退のような事態ををいかにして避けるかを考えるための反面教師としているのである。
「日本の経済モデルを模倣したくはないと欧米や中国の指導者たちは常々発言する。巨額の経済刺激策や銀行救済計画を進めようとするとき、欧米の指導者は『こうしない限り、日本のように十数年にもおよぶ経済衰退とデフレに陥ってしまうのだ』と自国民を説得するのだ」とハーバード大学の経済・公共政策教授のKenneth Rogoff氏は自著に記している。