1980年代の衰退に直面したとき、政府は銀行の不良債権を減免したり、業界に対して規制緩和をすべきだった。新しい税収政策を策定することで生産率を高め、起業を支援すべきだった。しかし、日本政府は莫大な財政支出や利下げ、日本円の切り下げなど「表面的」政策に終始し、問題の根本を正さなかった。
これらの刺激政策の効果は芳しくなかった。分析してみれば分かるように、隣国からの援助で危機を乗り越えることができるギリシャとは異なり、日本政府はつましく暮らす自国民から借金をするしかない。経済大国としての面目を守ることで、日本の指導者は決して怠け者だったわけではない。少なくとも、今に至るまでの衰退は緩やかのものだった。しかしそうは言っても、長期的に見て日本が深刻な危機を迎えているのは異論がないだろう。自国民の貯蓄を食いつぶしているのだから。
「日本は現時点ではまだ持ちこたえられるが、残念ながら先行きは暗いと言うしかないだろう。極めて低い出生率に加え、外国からの移民を頑なに拒む保守的観念を背景に、労働就業人口が下がり続けることが切実な問題である。生産力を引き上げる新しい方法を見つけることが急務となろう」とKenneth Rogoff氏は述べる。