なぜ米国が低い物価を維持できるのか
中国で売られている製品の中には確かに米国よりも高いものがある。だが、これは米国のグローバル会社が中国の安い製品を大量に仕入れているからである。それにより、米国のインフレが抑制され、物価が低く維持できているのである。
中国人民大学経済学院の聶輝華助教授は、自身の米国留学時の経験を思い返しながら、以下のように述べている:1990~2000年、米国ではゼロ・インフレ下にあり、そのCPI(消費者物価指数)は上下2%を行ったり来たりしていた。米国経済の高成長や個人所得の年々上昇が起こった時期に、インフレを上手く抑制することができた。だが、中国では、その期間を含むこの20年間に4回もの大型インフレを経験している。人民元の価値がどんどん下がり、物価が上がる一方であることを意味している。
業界関係者によると、インフレが天井を打つ頃には、中国の物価も安定化するはずである。CPIもある程度は下がるだろう。そうすれば物価も適正な水準になるはずである。物価と一口に言っても、その背後には、中国の経済成長の方向性を示す根深い問題が存在している。物価高騰を根本から解決するには、中国の経済成長モデルを転換し、経済構造の調整から手掛けなければならない。
中国人民大学経済学院国際経済学科の劉元春主任の分析によると、この数年の労働所得の上昇、人民元切り上げ、高いインフレ率が原因で、製造コストの安い地域に生産拠点を移す企業が増えてきている。低コスト製造という中国の長所が無くなってしまっている。また、中国の生産性が今はまだ低いことから、労働所得はなかなか上がらない。だが物価は上がる一方である。こうした経済発展モデルを換えるには、技術イノベーションおよび生産性の向上に頼ることが要となっている。製品価格の安定化を図るとともに、労働所得を大幅に上昇させることが不可欠なのである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年7月14日