国際原子力機関(IAEA)の専門家は10日、「2年前の福島原発事故が原発産業に依然として余波を与えている。原発の需要は過去2年間で減少を続けたと見られる。福島原発事故は、世界の原発産業の発展を10年間遅らせた」と語った。
IAEAのアラン・マクドナルド氏はシンガポールで開催されている世界核燃料サイクル会議で、「しかしながら、原発産業は今後縮小せず、成長を維持するだろう。2007−2010年、原発産業の成長予想は、毎年上方修正されていた。しかし2011年3月の福島原発事故の発生後、関連する予想は下方修正された。2010年の予想と比べ、IAEAが2012年に予想した2030年世界原発設備容量の下限値は16%、上限値は8%引き下げられた」と述べた。
マクドナルド氏はまた、「福島原発事故の発生後、IAEAが予想した2030年の設備容量は、事故発生前の2020年の予想値と同水準になった。つまり福島原発事故により、原発産業の発展が10年間遅れることが予想される。しかし調整後の予想通りであった場合も、原発市場は拡大を続け、成長率が一時的に低下するだけだ」と話した。
業界関係者は、「過去の経験から見ると、世界原発市場の発展は、時にある事件の影響を受けることがある。これは市民の許容範囲が重要であるためだ。しかし原発の発展は全体的に見て、その他のエネルギーに対してコスト面の優勢を持つか否かにかかっている。欧米の原発産業の発展は現在滞っているが、その一部の原因はコスト優勢の消失だ」と分析した。
世界原子力協会の統計によると、世界の発電量の約13%は原発によって賄われている。世界で建設中の68基の原発のうち、46基がアジアに位置し、中国が28基を占めている。中国上海核工程研究設計院の厳錦泉・副院長兼チーフエンジニアは、「中国は近年、原発を国家エネルギー発展計画に盛り込んだ。中国は原発の発展を継続し、全国原発設備容量を2020年に5800万kWとする」と述べた。