湯元氏:アベノミクスは主に大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の3大政策からなり、これは3本の矢とも呼ばれる。このうち最も注目されるのは大胆な金融政策、QQE、すなわち量的・質的金融緩和だ。この緩和政策は投資家心理を大幅に改善し、日本の株式市場を再度急上昇させた。
量的緩和は円安をもたらしたが、私はこれが通貨安を競い合う通貨戦争をもたらすことはないと考える。円安は2大効果をもたらす。1つはprice effectで、日本の輸出を増加させ、日本経済の成長を促す。もう1つはborrowing effectだ。中国、韓国など日本の産業と構成するサプライチェーン上の国々は円安によって利益がある。日本からプラントを輸入する際に支払う価格が低くなるからだ。
したがって、私はみなさんはアベノミクスを大きく誤解していると思う。実は急速すぎる円安は日本経済にとってかえってマイナスだ。私の計算では、円安が25%進むと、日本の輸入総額は5兆円増加する。日本は国債残高、貿易赤字ともに大きいため、ひとたび円安になれば、債務の返済と貿易赤字の補填により多くの円を支払うことが必要となる。この支出は確かに大きい。