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山高し道遠し 徐敦信元駐日大使が見る中日関係
発信時間: 2009-09-21 | チャイナネット

小泉首相の時代、主要な課題は「改革徹底」の旗を掲げて経済を刺激することでした。一方、外交政策は重大な失敗だった、と言えるでしょう。日本国内に多くの反省の声があるだけでなく、日本の盟友の米国ですら不満を隠しませんでした。

 

安倍氏の首相就任は、中日関係改善のきかっけとなりました。就任後に訪問したのは中国であり、これにより中日の政治面の「硬い氷」は崩れ始めていきました。安倍氏が訪問できたのは実は、靖国神社は訪問しないと確約したからです。温家宝総理が07年4月、「友好と協力」のために「氷を溶かす旅」に立ったことは、中日関係の氷と雪がすでに溶け始めたことを暗示していました。

 

「氷を壊す」「氷を溶かす」「春を迎える」から、08年5月の胡錦主席による訪日「暖春の旅」に至って、両大国の稀にみる政治の「氷河期」はようやく終わりました。四回におよぶ重要な訪問によって、中日関係は「政冷経熱」という不正常な状態から脱け出すことができたのです。この過程において、象徴的な出来事を提起しないわけにはいきません。つまり、中日の戦略的互恵関係の確立です。「戦略的互恵」が今、中日関係の主題となっています。

 

「戦略的互恵」は日本側が提起したもので、温家宝総理が訪日した際に両国は、大幅な紙面を割いて戦略的互恵関係について説明し、その内包する意味と任務を具体的に示した「中日共同コミュニケ」を発表しました。胡錦涛国家主席が日本を訪問した際には、双方は「戦略的互恵関係を全面的に推進することに関する中日の共同声明」を発表し、互恵関係を全面的に推進していくことを宣言しました。中日の間においては、これは四番目の重要な政治文書となり、現在および今後の両国関係の長期的な発展に向けて進むべき方向性、具体的な計画が明示されています。重い現実的意義と深い歴史的意義を備えているのです。 振り返れば、中日関係は紆余曲折を経、様々な問題が出現しましたが、それは実はいぶかるに足りないものです。歴史が原因だとしても、あるいは現実的にみても、隣人が付き合う中で問題が一つも起きない、というのは考えられません。問題が生じた後に中日間の声明、条約の精神に沿ってこうした問題を処理できるかどうか、私はこれこそが最大の鍵だと考えています。

 

国際的な力のバランスに変化が生じている今、金融危機に立ち向かうには、日本はますますアジアから離れることはできず、中国からも離れることはできなくなっています。もちろん、中国も日本を必要としています。

 

中日関係の発展について提言するとすれば、私はまずやはり、高所に登って遠方を望み、長期的な視点から中日関係をみることが大切だと強調したいですね。問題に遭った場合には確約と信用を守り、大局を念頭に置いて適切に処理することです。次に、相手側の発展に正しく対処し、自らの位置を的確に捉えることです。そして、青少年の友好往来の推進。「歴史を鑑とし、未来に目を向ける」よう次世代を教育することです。

「北京週報日本語版」より2009年9月21日

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