前新華社東京支局局長 冮冶
北京での会議が終わり東京に帰って来たその年の4月は、東京で行われるアジア開発銀行のアジア開発ジャーナリズム賞の授賞式に参加する3人の中国人記者が一緒だった。3人にとって日本は初めてということもあり、少しでも時間ができるとホテルを飛び出して東京のあちこちを見て回り、東京のにぎやかさや秩序、清潔さ、便利さを体験した。
車を使った花屋 撮影:冮冶
曇らないガラス
その中のある新華社の女性記者が、ホテルの浴室で初めて曇らない鏡を見たと言う。彼女は訪れた場所も多く、経験豊かで何でも知っている。浴室の鏡が曇らないのは、その裏に電熱線のようなものが付けられているためで、もし鏡全体に電熱線が付けられていれば鏡は全く曇らず、鏡が曇ることさえも気がつかないだろう。妙といえば妙な話だが、この鏡は人の顔の大きさだけ曇らない。入浴が終わって化粧をしたり髪をといたりしても、そこだけははっきりと快適な表情の自分を映し出している。
これは人に優しいという考えから生まれたもので、ある面では省エネ意識を表している。そして私が思い出したのが中国でよく言われる「人間本位」という言葉だ。人びとは快適な生活や環境を必要としている。だが地球にとってその負担は限界を超えており、私たちはエネルギーを節約して有効利用しなければならない。そうしたことから考えると、曇らない鏡はこの2つが調和し一つにまとまったものに思える。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年4月15日