幾松(木戸松子)
「維新の三傑」の一人として有名な木戸孝允(桂小五郎)にも、芸妓との命懸けの恋の逸話がある。木戸の妻、松子も芸妓であった。1864年、幕府勢力が維新志士の捕縛に躍起になる中、木戸孝允は浮浪者に扮して橋の下に身を隠していた。松子は命の危険を冒して、毎日、橋の上までやって来て、握り飯の入った包みを不注意に見せかけて橋の下に落とし、木戸に届けたのである。その後も、松子は幾度となく木戸を匿い、遂には、木戸は幕府の追っ手から逃げ切って、後に倒幕のリーダーとなることができたのである。芸妓は、日本の明治維新に多大な貢献を果たしたといえる。また、冗談めかして、「もし芸妓がいなければ、日本の歴史は大きく変わっていただろう」、と言う人までいる。