⑨ 政府調達の現状と問題点
・ 中国はGPA に早期に加盟するためのプロセスを加速させるとともに、『政府調達法』などの関連法制度について、外資企業に対する差別状況を解消し、GPA などグローバルスタンダードに沿った内容で改正・制定することを要望する。
・ 『政府調達法』の公布からすでに8 年が経過しているが、関連法規は相対的に少ない状況にある。このままでは、政府調達部門の業務の規範化を効果的に進めることが難しく、日系企業を含む多くの企業の対応を困難にしている。『政府調達法実施条例』を含む一連の関連法制度の早期制定・公布を要望したい。また本法制度の検討に際しては、今後も外資企業への十分な説明、手続きの透明性、公正性を確保いただき、引き続き日本の意見を聞く機会を持っていただきたい。
・ 『中国政府調達法実施条例案』や『中国自国製品政府調達管理弁法案』、『省エネ製品の強制調達リスト』では、政府調達で自国製品が優先(輸入品排除)されており、輸入品は一般的に対象外となっている。『中華人民共和国政府調達法』は、輸入品の調達を条件付で認めているが、法律と運用の取り扱いが異なっている部分が多い。調達者が輸入品を調達する際の事前申請の利便性を向上するため、「政府調達リスト」に輸入品であることを明記し、掲載することを要望する。
・ 入札後に改めて多くの条件交渉が発生する商習慣を改めるとともに、資格やルールを明確化、オープン化することを要望する。また落札要件として、価格のみならず性能条件、効率、メンテナンス面などの要素も勘案することを要望する。温家宝首相は2011 年3 月の全国人民代表大会の中で、急速な経済成長の結果、「資源、環境保護の制約が高まったこと、所得格差が拡大していること、イノベーション能力が弱いこと」などを問題として指摘した。日本企業は製造業はもとよりサービス業においても、世界有数の先進技術とノウハウを有する。中国が目指す戦略的新興産業の育成と発展の加速において、イノベーション能力の向上や現代サービス業の発展など、多くの分野で貢献できるものと考えられる。
日本企業は、中国の経済発展の重要なパートナーとなることを強く望み、この白書が中国との対話の深化につながることを願ってやまない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年4月19日