ところが新聞は自分の論調が批判されたことに対しては知らぬ顔の半兵衛を決め込んで相変わらず「消費税(引き上げ)から逃げるな」の一点張りである。これは新聞として無責任ではあるまいか。
新聞はTPPもイケイケどんどんだが、かつてわが国の食糧安全保障を論じていたのをすっかり忘れてしまったらしい。国連は2025年には世界人口の2/3が水不足になると予測する。
そのとき果たしてわが国の食糧事情は大丈夫だろうか。農業問題も長年営々と語り続けられてきた。農業を担う人が高齢化と減少し続ける状況において簡単に回答が見つけられるであろうか。
もちろん新聞が自分の見解を主張するのは当然である。ただし、新聞が世論を作るのではなく、基本的には世論に従うべきである。世論無視で世論を作ろうとするのであれば新聞専制主義である。
なおかつ、新聞が独自の価値観で政局に嘴をはさんで引っ張り回そうとしているのだから、高いハードルを目前にして容易に結論を見いだせない政党・政治家としては戸惑うだろうし、国民もまた嫌気がさす。
政党は一定の世論を基盤としなければ持続できない。民・自のみならず他の各政党も低支持率であり、これでは評論家集団に過ぎない。大問題だらけのいま、拙速を求めず、皆がじっくり考えるようにせねばならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年2月2日
奥井禮喜氏のプロフィール
有限会社ライフビジョン代表取締役
経営労働評論家
日本労働ペンクラブ会員
OnLineJournalライフビジョン発行人
週刊RO通信発行人
ライフビジョン学会顧問 ユニオンアカデミー事務局
1976年 三菱電機労組中執時代に日本初の人生設計セミナー開催。
1982年 独立し、人と組織の元気を開発するライフビジョン理論で、個人の老後問題から余暇、自由時間、政治、社会を論ずる。
1985年 月刊ライフビジョン(現在のOnLineJournalライフビジョン)創刊。
1993年 『連帯する自我』をキーワードにライフビジョン学会を組織。
2002年 大衆運動の理論的拠点としてのユニオンアカデミー旗上げ。
講演、執筆、コンサルテーション、インターネットを使った「メール通信教育」などでオピニオンを展開し、現在に至る。
高齢・障害者雇用支援機構の「エルダー」にコラム連載中。