中国広播網「経済之声『交易実況』」によると、中国企業は世界進出を切望しており、ひっきりなしに海外で吸収・合併を推し進めているが、それによって発生する問題も少なくないという。日本企業の海外発展モデルに、中国企業が参考にできる点はあるだろうか。この問題について、著名な経済専門家の李克氏が次のように述べた。
2011年3月11日、東日本大震災による津波災害や原発事故が日本経済に与えたダメージは大きく、今日に至るまで、日本国内では震災後の復興・再建が進められている。現在、日本経済は全体的に緩やかに上昇しつつあり、中国の経済研究チームは、2012年の日本の国内総生産(GDP)成長率は2%―2.5%に達すると見込んでいる。絶対的な復興需要、特に被災地の再建・インフラ建設による鉄鋼・建築材料・電子設備の需要などが増加し、経済回復を押し上げる重要な牽引力となっている。また、日本は今、自国のミドルエンド・ハイエンド産業の海外進出をバックアップすることを絶えず強調しており、技術的優位性を持つ企業の海外進出を促進し、大企業・大手商社だけでなく、中小企業の海外での事業活動に対しても、対応する支援政策を講じている。その他にも、今後5―10年の日本の経済発展に向けた重要産業成長戦略に関する政策や措置などを日本政府は、2012年年始から幾度にも渡って論議してきており、5月から徐々に打ち出されている。これらの要素を合わせて考えると、政府の取り組みの効果が表面化しつつあることがわかる。
当然、取り組みの過程で、日本も自国企業の海外市場での影響力を強化し、更に規模を拡大することを望んでいる。第一に、日本国内ではコストや費用の引き下げが難しく、また、昨今は歴史的な円高が続いていることで、国内企業の経営には極めて大きな負担がかかっている。このような状況の中、日本政府は自国企業が様々な手段で海外進出し、海外市場で更なる発展を遂げることを奨励している。日本企業の新世代の海外進出の特徴は、中小企業が中心であると言うことだ。中でも特にコア技術を有する企業が主立っている。
新世代の海外進出の過程では、企業の合併・買収(M&A)が主要な手段ではない。一方、中国企業の海外進出を見ると、やはりM&Aを海外進出のモデル或いはツールとしているところがほとんどである。実のところ、過去の国際的なデータを見ると、クロスボーダーのM&A案件で、10年以上経営維持できた成功例はおおよそ20%に満たない。つまり、M&Aによる企業の80%が10年以上存続できずに失敗に終わっているということだ。中国企業のM&Aだけに頼って海外進出を進めるやり方は、大きな問題を抱えている。
日本の海外進出の方法、特に中小企業のやり方は参考にする値打ちがあると感じる。これらの企業は技術力、コア製品・コア部品などにおける優先権や開発力を持っていることで、海外企業との協力において、M&Aではなく業務提携や事業統合を通して、末端製品の生産に参与することができる。これら中小企業の部品や生産プロセスは非常にハイエンドで、代替がきかないという優位性を持っているため、企業の海外発展の確実なものにし、更には収益水準も確保される。これらの点も参考にする価値があると言えよう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年8月6日