「われわれの日本に対する理解は、人間らしさ、民族性、グローバル性に欠けていると思う。この隣国に対する認知は、未だ近代史に留まっている」と日本で23年間生活を送っている映画監督の李纓氏は記者に語る。
李纓監督が撮影した靖国神社問題をテーマにした映画『靖国 YASUKUNI』は日本で上映され、2011年には新たに『神魂顛倒日本国(うっとりさせられる日本の意)』という著書を出版している。今年49歳の李纓監督、今の日本に対する気持ちは、初めて日本に行った時の「憤然とした怒れる若者」だった頃とは違うという。
1997年に遡って。
当時、李纓監督は中国中央テレビ局(CCTV)が製作するドキュメント『南京大虐殺』の撮影を行うため、靖国神社に所属する軍人会館で開催された「南京問題60周年研究会」に参加した。日本軍が当時製作したドキュメント『南京』が放送され、日本軍が南京を占領して日本国旗を挙げるシーンになった途端、研究会会場ではあろうことか大きな拍手と歓声が沸きあがった。
「当時、猛烈な刺激を受け、怒りのあまり、レンガを投げつけたいという衝動に駆られた」と李纓監督は話す。