だが、ヤフー日本語サイトには、子供が生まれたというニュースの後に口汚く罵倒を浴びせるコメントが多かった。
このイメージは「邪悪な日本軍」を演じ続ける俳優に付きまとう悩みである。2006年時点で既に十数人もの「日本軍」を演じてきた矢野さんは、大変な疲れを感じていたという。自分の演じてきた役を振り返ると、残忍、冷酷、無情、好色の「日本軍」は、最後には決まって敗れ、卑劣な人間のまま死んでしまう。
長きに渡って中国で生活を送っている矢野浩二さんの奥さんは中国人である。娘さんも中国国籍だ。常に中国と日本の間に「挟まれる」矢野さんはよく「敏感な問題」について意見を求められる。
「日本人もいろいろな人がいて、中国人にもさまざまがタイプがいる。僕は中国の友達と交流するたびに、国籍にとらわれることなく、その人自身を見る。自分が持っている固定観念に全ての人を当てはめてはいけない」と矢野さんは言う。
残念なのは、矢野さんが日本に帰るたびに右翼からの攻撃を受けることだ。加藤嘉一さんも同じような目に遭うという。