JRや各私鉄も各地の観光を充実させるため多種多様な周遊チケットを販売している。価格も数百円から数千円までリーズナブルなチケットがニーズに合わせて揃えてあり、有効期限内であれば何度でも乗車することができる。日本の鉄道会社の運賃体系では、周遊チケットの方がお得なのだ。観光客は限られた時間の中でたくさんの観光スポットを回り、日本への理解を深めることができる。そして親しみが生まれ、自国の人にその喜びを伝えてくれれば、鉄道会社の収益は少なくてもそれ以上の価値が得られるのだ。
観光地への入場料は、本来ならば主な観光収入になるはずである。しかし、物価が高いことで知られる日本では、入場料はさほど大きな負担にはならない。日本の自然公園、国立公園はほとんどが無料で、徴収するとしても数百円程度だ。小中学生と高齢者は一定額の割引待遇があり、価格は長年変わらない。文物古跡の見学も同じことがいえる。この他にも、外国人観光客はパスポートを提示すれば東京国立博物館や奈良県立民族博物館などの博物館に半額あるいは無料で入館することができる。観光客はこうして日本の歴史や文化に触れることができ、世界は日本という国への理解を深めることができるのである。
日本の観光地の入場料が低価あるいは無料なのは、観光業の発展と入場チケットの販売を直接リンクして捕らえていないからだ。その地を歩き、食べ、泊まり、買い物する。これこそが消費を牽引するポイントであり、たとえ観光客の購買力が強くとも、物価を引き上げて収益を上げようとはしない。