危険な「栄光」
甲午戦争により、日本は隣国を敵とする、好戦的な道を狂奔するようになった。日本は中国とアジア太平洋諸国の人々に深刻な被害をもたらし、今なお癒えることのない傷を作った。世界の反ファシズム同盟の攻撃により、日本は1945年9月に無条件降伏し、軍備拡張の歴史の終了を宣言した。
しかしながら日本社会は敗戦後、甲午戦争と日露戦争についてほとんど反省をしなかった。1960年代、第二次世界大戦の傷が癒えぬ中、司馬遼太郎が甲午戦争と日露戦争を時代背景とする小説『坂の上の雲』を執筆すると、「明治の神話」の盛り上がりが絶頂に達した。
司馬遼太郎は作品の中で、甲午戦争と日露戦争の性質を必死に美化・歪曲し、日本は「やむなく」甲午戦争を発動した、日露戦争は自衛のための戦争と称した。さらには読者に対して「甲午戦争から日露戦争までの10年間、日本民族は歴史に類を見ない奇跡を創造した」と言ってのけた。このような創作に対して、日本の歴史教科書専門家の高井弘之氏は、「坂の上の雲が反映している価値観には偏りがある」と指摘した。
しかしこの偏った観点を持つ小説は、日本の政治家、経営者、学者、論客の愛読書、一般の読者が好んで論じる話題になっており、1800万部以上も売れている。NHKは2009年に同作品をテレビドラマ化し、日本社会で再び明治時代の「栄光」を偲ぶブームが生じた。
「明治の神話」にせよ、「明治の奇跡」にせよ、坂の上の雲を始めとする「明治史観」は、戦前の日本の「神国史観」、「皇国史観」の延長であり、日本の右翼の歴史修正を試みる「大東亜戦争史観」、「靖国史観」を生んでいる。
この危険な「栄光」の遺伝は今も日本社会に深く根ざしており、成長に適した土壌と環境を手に入れれば再び芽を出す恐れがある。先ほど第二次世界大戦の神風特攻隊員を賞賛した『永遠の0』が一世を風靡したが、これはその証左だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年7月25日