日本ブランドが挟み撃ちを受けながら生き延びようとし、眼前の成果を求め業績を粉飾したことが、近年のスキャンダル続発の根源となっている。
上海国際問題研究院の呉寄南研究員は「スキャンダル続発は日本製造業の企業文化、人材構造の変化と大きく関わっている」と指摘した。
企業文化を見ると、かつての製造業は「現場中心、品質優先」だったが、近年はさまざまな原因により利益至上主義が際立っている。企業はそのため手抜きとごまかし、データ改ざんに手を染め、企業文化に質的変化が生じた。その一方で日本企業の内部では厳しく細かすぎる上下関係があるが、管理はフラット化されていない。「大企業病」により現場で起きている問題が最上層まで報告されない。情報を上下に伝えるため大きな労力がかかり、小さな問題が蓄積され大きな問題になりやすい。
人材構造の変化を見ると、同じ仕事ながら低賃金のアルバイトや派遣社員を大量に採用することで、大きな問題になっている。20年前であれば、製造業の現場で働く労働力に占めるアルバイトの割合は2割だったが、現在は約8割に達している。彼らは往々にして、真っ先に淘汰される。このような原因があり、彼らには企業への帰属感というものがない。日産が大量の無資格者を使い出荷検査の手続きをごまかしていたスキャンダルが、その証左だ。
安倍政権に警鐘を鳴らす
日本企業の情報隠蔽やデータ改ざんなどは、日本企業の管理・監督の不足、「臭いものには蓋」という共通する問題を反映している。
呉氏は、日本企業の不正行為は集団的な現象であり、安倍政権に警鐘を鳴らしていると判断した。アベノミクスが始まり数年がたち、株価は25年ぶりの高値をつけ、円安により輸出企業の利益が生まれている。しかし日本企業が200兆円以上の内部留保金を直接投資に用いようとせず、さらに従業員の賃金も上げようとしていないことが問題だ。これはある程度、安倍首相のせいで生じた悪い結果だ。表面的な経済データの見栄え良さだけを重視し、経済の深い指標(現場の正社員の割合、職業技能訓練への投資など)がなおざりにされている。これにより日本製造業のモデルチェンジ期の苦しみ、「再台頭」の遅れが、今後しばらく続くことになるだろう
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年11月28日