(4)権力:「青年将校」
日本では、極端な民族主義の観点をもち、言行が過激な人物を「青年将校」と呼ぶ。今回の釣魚島船舶衝突事件を巡っても、民主党政権内に、このような青年将校の一群が頭角を現している。
青年とはいえ年齢は四五十代、しかし、日本政界では、若い方である。例えば、今回直接中国人船長の逮捕命令を下した当時の前原誠司・国土交通相はその代表的な人物の一人である。
前原氏は一貫して「中国脅威論」を主張し、最近まで釣魚島船舶衝突事件を巡って強硬な態度をとり中国を非難し続けている。現民主党の枝野幸男副幹事長も、「嫌中」派として有名である。最近では中国を「悪しき隣人」等と公言している。戦前の日本においても、英米を「鬼畜」と罵ったり、「暴支膺懲」をスローガンにしていた。
彼のような人物は、自民党内にもいる。これまで長い間、軍国主義的色彩を放つ極端な民族主義を吹聴している。しかし自民党政権の際、これらの人物は権力の中枢に近づけず、大きな影響力を持つには至らなかった。
自民党に代わり、民主党が与党になったことで、日本の政界における世代交代は確実に加速している。比較的若い民主党は、権力の中枢に若手を引き入れた。彼らは、まさに歴史を正視せず、そして「罪悪感」を持たない若者の典型である。これらの人物がそれぞれの実権を握る大臣クラスのポストについている。また、日本特有の権力構造や菅首相の乏しい政権運営力により、彼らの強気な物言いと軽率な行動を後押ししている。今回の釣魚島船舶衝突事件の裏には、戦前の「軍事クーデター」ともいうべき魑魅魍魎とした影を見てとることができる。
戦前、国力や軍力の大差を無視し、真珠湾攻撃をしかけ、アメリカに宣戦布告を行った。その後、戦局の急転にも関わらず、「本土決戦」を固持し続けた……。そして今回、同盟国の米国でさえ釣魚島が日本の領土であることを認めていない中で、菅直人は繰り返し「東海(釣魚島周辺海域を含む)に、領土問題は存在しない」と公言している。これには戦前の軍部における「大本営発表」のファシズム的イメージを強く受ける。彼は10月24日、自衛隊観閲の際、訓示でこう述べている。「自衛隊は多様な事態に実効的に対処し得る態勢を常に取っておく必要がある」。