さらに、政策がいささか職務によって異なったことだ。野田氏の選挙中最大のライバル、海江田万里氏は国会答弁で、管直人前首相が強く訴えた「脱原発」のスローガンについて実に精彩を放つ批評をしている。「もし首相の身分で『脱原発』を宣言するなら、その重さは『重如泰山』(重きこと泰山の如し)である。もし個人の意見に過ぎないのなら、『軽如鴻毛』(軽きこと鴻毛(こうもう)の如し)である」
外交面でも同様だ。首相選出前、野田氏は対外関係に関する一部の発言でさまざまな「レッテル」を張られたが、すでに政権の座に就き、情勢は異なる。ただ中日関係について言えば、成熟した政治家は、安定した健全な中日関係は双方にとって、アジアにとってもプラスであり、これが大きな流れであることを認識すべきである。
野田氏が管前首相から受け継いだのは、非常に厄介かつ山のような仕事である。震災後の復興、原発事故、円高、産業の海外流出、国債の高止まり、高齢化、社会保障の重い負担……。身辺の政治環境は相変わらず厳しく、管前首相が野田氏に残した党代表の任期はわずか1年。何かしたいと思っても、直面する課題は軽くはない。内向けには、団結を強化し、衆知を集めて有益な意見を幅広く吸収するし、外向けには、隣国や大国との関係を適切に処理し、ともに発展を図る。
総じて言えば、野田氏は内政・外交面で議論を呼んだ発言をしたことはあるが、早々と「レッテル」を張る必要はなさそうだ。畢竟、執政者が政治を行うのである。大きな情勢に応じて、大きな目標と大きな方向を重視するには、大きな智恵が必要である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 201年8月30日