十、軍備抑制と軍縮
中国は国際軍備抑制、軍縮、拡散防止への努力を重視し、また積極的に参加し、国連およびその他の関連する国際機構と多角的なメカニズムの役割を充分に発揮させるよう主張し、既存の多角的な軍備抑制、軍縮、拡散防止体系を強固にし、さらに強化し、各国の安全に対する正当かつ合理的な関心を尊重して配慮し、世界の戦略的バランスと安定を守っている。
核軍縮
中国は一貫して核兵器の全面禁止と完全廃棄を主張している。中国は、最大の核兵器庫を擁する国は核軍縮に対して特殊な、優先的責任を負っており、査察でき、不可逆な、また法律の拘束力を備えた方法に則って、引き続き大幅な核兵器庫の削減を行い、全面的かつ徹底的な核軍縮を最終的に実現するために必要な条件をつくり出すべきだと考えている。条件が成熟した時に、他の核兵器保有国も多国間の核軍縮会談プロセスに参加すべきである。全面的かつ徹底的な核軍縮を最終的に実現するために、国際社会は、また、確実に実行可能な、段階に分かれた長期的な計画を適時制定すべきで、その中には「包括的核兵器禁止条約」の締結も含まれている。
中国政府は、核兵器を包括的かつ徹底的に禁止または廃棄する前に、すべての核兵器保有国は、先に核兵器を使用することを基礎とする核威嚇政策を放棄すべきであり、非核兵器保有国と非核地帯に対して、無条件に、核兵器を使用しないかまたは核兵器の使用をもって威嚇しないことを明確に約束し、また関連する国際法律文書についての会談を行うと同時に、核兵器保有国の間でも「核兵器相互先制不使用条約」に関する会談を行い、それを締結するよう主張している。
中国は建設的な姿勢で『核兵器不拡散条約(NPT)』の審議プロセスに参加し、締約国とともに2010年第8回の審議大会で取得した積極的な成果を真剣に実行することを願っている。中国は『包括的核実験禁止条約(CTBT)』の早期発効を支持し、ジュネーブ軍縮交渉会議が「核兵器またはその他の核爆発装置に用いる分裂物質生産禁止条約」について迅速に交渉を始めることを支持している。
中国は国連安全保障理事会の常任理事国と『核兵器不拡散条約(NPT)』を締結する核兵器国として、いついかなる時も、核軍縮の義務を回避することなく、公開、透明、責任を負う核政策を実行している。中国は一貫して、いかなる時、いかなる情況の下でも、先に核兵器を使用しないという政策を厳守し、非核兵器保有国と非核地帯に対しては、無条件で核兵器を使用しないか、または核兵器の使用をもって威嚇しないことを明確に約束した。中国が他国に核兵器を配置したことはなく、核兵器の発展面においては終始、自制の態度をとっており、いかなる形の核軍備競争に、今までもまたこれからも参加することはなく、みずからの核戦力を国の安全需要のための最低のレベルとして維持することを継続する。
中国は「核実験の一時中止」の約束を引き続き守っており、『包括的核実験禁止条約(CTBT)』機構準備委員会の活動に積極的に参加し、国内の条約履行の準備過程を着実に推し進めている。中国は12ヵ所の国際監視測定システム観測ステーションと実験室の建設を担当している。現在、すでに6ヵ所の地震観測ステーション、3ヵ所の放射性核物質観測ステーション、北京放射性核物質実験室と中国国家データセンターの建設を完了し、超低周波不可聴音観測ステーション1ヵ所を建設中である。
中国は一貫して非核兵器保有国が非核地帯を設立する努力を支持している。中国はすでに署名開放されたすべての非核地帯条約の関係議定書に署名し、またそれを批准しており、すでにアセアンと『東南アジア非核地帯条約』に関する問題で合意し、中央アジア諸国が合意した『中央アジア非核地帯条約』および議定書を支持している。また、中東非核地帯の設置を支持している。
中国は、世界ミサイル防衛計画は世界の戦略的バランスと安定を損ない、国際および地域の安全にとってもマイナスとなり、核軍縮のプロセスに消極的な影響を与えると考えている。中国は、すべての国が海外で戦略的なミサイル迎撃能力と潜在力を備えたミサイル迎撃システムの配置や関連国際協力の展開をすべきでないと主張している。