八、国防費
中国は国防建設と経済建設の調和的発展の方針を堅持する。国防の需要と国民経済の発展レベルに基づき、国防費の規模を合理的に確定し、法律に則って国防費を管理し、使用する。
国の経済社会の発展に伴い、中国の国防費は、適度にまた、理にかなった形で増加している。2008年と2009年の中国のGDPはそれぞれ31兆4045億人民元と34兆903億人民元であった。国の財政支出はそれぞれ、6兆2592.66億人民元と7兆6299.93億人民元であり、前年よりそれぞれ25.7%、21.9%増えた。2008年と2009年の中国の年度国防費は、それぞれ4178.76億人民元、4951.10億人民元であり、前年よりそれぞれ17.5%、18.5%増えた。ここ数年らい、中国の年度国防費のGDPに占める割合は安定しているが、国の財政支出に占める割合はわずかに低下している。
中国の国防費は、主に兵員の生活費、訓練の維持費と装備費の3項目から成り立っており、それぞれが大体3分の1ずつを占めている。兵員の生活費は、将校、文官幹部、兵士、招聘任用されている現役ではない人員の給与・手当、住居、保険、食事、衣服などの費用に充てられる。訓練維持費は、部隊の訓練、大学・学校教育および各項目のプロジェクト施設の建設と維持、その他の日常的かつ消耗的な支出に充てられる。装備費は、兵器・装備の研究開発、実験、買付、メンテナンス、輸送、備蓄などに充てられる。国防費の保障範囲は、現役部隊、予備役部隊、民兵を含むと同時に、一部の退役軍人、軍人の配偶者の生活および子女の教育、国と地域の経済建設への支援など社会的な支出も含まれる。
表1:2009年中国国防費の支出(単位:億人民元)
この2年来、増加している国防費は、主に次の3つの方面に使われている。(一)部隊の保障条件を改善する。国の経済社会の発展と国民の生活レベルの向上に適応し、軍人の給与・手当基準の調整を行い、教育トレーニング、給水・電気・暖房設備などの経費の基準を引き続き引き上げている。また、末端の後方勤務の総合的な組み合わせの整備を展開し、国境警備・海上防衛部隊、辺境、または条件の厳しい地域に駐屯する部隊の勤務・訓練と生活条件を改善する。(二)多様化した軍事任務を完成する。非戦時軍事行動における能力建設への資本投入を増やし、震災救援、アデン湾やソマリア沖での護衛航行、水害への緊急救援、国際救援などの活動を保障している。(三)中国の特色ある軍事変革を推し進める。買付価格、メンテナンスコストの高騰の勢いを受けて、ハイテク兵器装備および関連建設経費を適度に増やす。
2010年、世界金融危機の深刻な影響は、まだ払拭されておらず、さまざまな不確定要素が多く、中国の財政収支が緊迫するという矛盾が依然として続いている。国家財政は重点的に「三農」(農業、農村、農民)、教育、科学技術、医療衛生、社会保障など民生支出を確保することを基礎とした上で、需要に基づき国防支出を適度に増加させていく。2010年の国防予算は、5321.15億人民元で、2009年に比べて7.5%増加しており、国防費の増加幅は、やや低下している。
中国は、国防費に対して厳格な財政配分制度を実行している。毎年の国防予算は、すべて国の予算草案に組み込まれ、全国人民代表大会によって審査、批准される。国と軍隊の会計監査機構は、国防予算および執行状況に対して会計監査と監督を行う。ここ数年来、中国政府は国防費を科学的かつ綿密に管理することを強化しており、財政経済管理制度を改革、刷新し、資産管理の改革を促し、予算執行に対する監督と管理を強化している。また、指導幹部の経済責任に対する会計監査と経費や物資の使用に関する専門の会計監査を組織し、国防費支出の透明度と規範性を高め、国防費の正確かつ有効な使用を確保している。