2010年度「中国の国防」白書(全文)

2010年度「中国の国防」白書(全文)。 中国の国防白書

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発信時間: 2011-09-23 13:44:07 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

四、武装力の運用

中国の武装力は時代の発展と安全情勢の変化に適応し、さまざまな安全に対する脅威に積極的に対応でき、国の安全と発展の利益に有力な支えを提供し、世界の平和を維持し共同の発展を促すうえで重要な役割を果たしている。

国境警備、海上防衛、防空面の安全を守る

中国の国境警備・海上防衛の仕事は軍隊・地方がそれぞれ分担し、それぞれが責任をもつという防衛管理体制を実施している。軍隊は主に国境や沿海、海上の防衛や警戒を行い、外部からの侵入、蚕食、挑発および越境破壊などの活動を警戒、防衛、制止し、取り締まっている。公安国境警備部隊は主に国境や沿海地域、海上の治安管理および国境通関所において出入国審査を行い、国境や沿海地域の密出入国、麻薬密売、密輸などの不法犯罪を防止し、取り締まり、国境や沿海地域の反テロと突発的事件処理作業に取り組んでいる。海上監視、漁業監督、海事、検疫検査、税関などの部門はそれ相応の権利保護・法律執行と管理の任務を担当している。国は国境警備・海上防衛委員会を設けており、国務院、中央軍事委員会の指導の下で全国の国境警備・海上防衛活動をバランスよく推し進めている。各軍区と国境・沿海地域の省、市、県という三つのクラスの行政区には国境警備・海上防衛委員会が置かれており、同管轄区の国境警備・海上防衛活動を統一的に協調させている。

近年、人民解放軍国境警備・海上防衛部隊は国境警備を強固にし、善隣友好を維持し、安定を確保し、発展を促すという要求に基づいて、国の関連法律・規定や隣国と結んだ協定・協議を施行し、戦争に備えるための職務をしっかりと遂行している。さまざまな侵入、蚕食、越境破壊活動を厳しく防ぎ、国境警備・海上防衛に関する政策や法規に違反する行為と国境線の現状を変えようとする行為を適時に阻止し、国境や沿海地域と管轄海域の安全・安定を効果的に確保している。公安国境警備部隊は国境警備、安定確保のための反テロ活動を着実に行っており、国境通関所における検査と海上の管理・コントロールに力を入れ、密出入国、麻薬密売、密輸などの犯罪を厳しく取り締まっている。2009年以来、3万7000件にのぼるさまざまな案件を処理し、不法銃器3845丁を押収した。

国は、軍隊・警察・民間による合同防衛や合同管理、合同整備を国境警備・海上防衛と国境建設の有力な支えとしている。ここ数年来、軍隊を主体とし、各国境警備・海上防衛関係部門が互いに協力し合い、国境や沿海地域の民兵予備役と人民大衆が幅広く参加するシステムをたえず完備し、指揮情報システムに重点を置いた、情報インフラを支えとする国境警備・海上防衛の情報化の建設を推し進め、国境警備・海上防衛のインフラ整備に力を入れている。国境地域を管理し、海域をコントロールする能力のレベルを向上させ、国境地域または沿海地域経済の建設と社会の安定を促した。

防空安全は国の全般的安全を構成する重要な要素である。人民解放軍空軍は国の防空安全を守る主力であり、陸軍、海軍、武装警察部隊は中央軍事委員会の指示に従い、防空任務の一部を担っている。空軍は中央軍事委員会の意思に基づいて防空任務を担当するさまざまな防空力に対して統一的指揮を行っている。国の防空システムは年間を通じて警戒状態にあり、空中動態を把握し、空中飛行の秩序を維持し、空中戦闘哨戒を実施し、空中における突発的事件の処理を行い、国の領空の主権を断固として守り、国の領空の安全を確保する。

社会の安定を維持する

中国の武装力は法律に基づいて社会の秩序を維持するための活動に参加しており、主として、地方党委員会や政府の統一的指導の下で、公安部門に協力して正常な社会秩序を守り、人民大衆が安心して暮らせることを保証している。 武装警察部隊は国が突発的な公共事件を処理する際の中心であり突撃力でもある。2009年以来、人質誘拐事件などのゆゆしき暴力犯罪事件24件を処理し、逮捕行動201件に参加し、建国60周年祝賀式典、上海万博、広州アジア競技大会の安全確保任務をりっぱに遂行した。

2010年11月に中央軍事委員会は『突発的事件を処理する際の軍隊による応急指揮についての規定』を批准し、公布した。軍隊が社会の安定を維持し、その他のさまざまな突発的事件を処理する際の組織・指揮、力の行使、総合保障、軍隊と地方との協力などについて明確な規定を定めた。

国の建設と災害救援に参加

国の建設事業と災害救援に参加することは、憲法と法律が中国の武装力に与えた重要な任務である。 人民解放軍と武装警察部隊は西部大開発への参加や支援を中心とする国の建設への支援に積極的に参加している。この2年間に、延べ1600余万の労働日数を費やし、130万台の機械車両を出動させ、交通や水道・電気、通信、エネルギーのインフラ整備にかかわる重点プロジェクト600余項目に参加した。農村における貧困扶助連絡スポット3500余カ所を設置し、節水灌漑、人や家畜の飲用水、道路、水道・電気などの小型公共プロジェクト8000項目以上の建設を支援した。西部地域に駐屯する部隊は樹木1100万本を植林し、大規模な植林、空からの播種による緑化、荒れ山、荒れた河原周辺の緑化が320万ムー(1ムーは0.067ヘクタール)に達した。軍隊の医療・衛生システムは、一対一の形で西部の貧困地域の県クラス病院130カ所を支援し、医療チームを延べ351回派遣し、器械・設備110台(件)を寄贈した。また、四川省、陝西省、甘粛省の震災地において学校8カ所とリハビリセンター1カ所の設立援助のために寄付を行った。

中国の武装力は災害救援の突撃力である。2009年1月に、中国は軍隊を主体とする洪水災害救援応急部隊、震災緊急救援隊、核・生物・化学環境下の応急救援隊、空中緊急輸送隊、交通応急救援隊、海上応急捜索救援隊、応急機動通信保障隊、医療防疫救援隊など8つの国レベルの専門の応急隊をつくり、兵力規模は5万人にのぼる。2009年7月に、武装警察の水利・電力部隊、交通部隊の3万1000人が国の応急救援陣に組み入れられた。各軍区は関係する省(自治区、直轄市)と協力して省クラスの専門の応急隊をつくった。

この2年間に、軍隊と武装警察部隊は延べ兵力184万5000人、各種タイプの車両(機械)79万台、航空機とヘリコプター181機を出動させた。また、民兵予備役643万人を動員し、洪水・冠水、地震、干ばつ、台風、森林火災などの災害救援に何度も参加し、174万2000人の被災者を救助し、避難させ、30万3000トンの物資を緊急輸送し、3742キロにわたる河川を浚せつし、4443の井戸を掘削し、728キロにおよぶ堤防を補強し、50万4000トンの生活用水を輸送した。

国連平和維持活動(PKO)に参加

中国は責任のある大国として、国連の平和維持活動をサポートし、それに積極的に参加し、世界の平和維持に積極的な貢献をした。

1990年、中国人民解放軍は国連の中東平和維持任務区域(中東国際平和協力業務が行われるべき地域)に5人の軍事監視員を派遣し、国連平和維持活動に初めて参加した。1992年、国連カンボジア平和維持任務区域に400人からなる工兵大隊を派遣し、編制された部隊を初めて派遣した。2001年に国防部平和維持事務弁公室を設立した。2002年、国連待機制度(UNSAS)のレベル1に登録した。2009年、国防部平和維持センターを設置した。2010年12月現在、計19項目の国連平和維持活動に参加し、平和維持活動のために延べ1万7390人の将兵を派遣し、9人の将兵が任務遂行中に殉職した。

中国の平和維持部隊は苦しみをおそれず、強い戦闘力と仕事への献身精神という優れた気風を発揚し、責任をきちんと果たす持ち前の精神力を発揮して活動に励み、8700余キロにわたる道路、270の橋を新築または修復し、地雷と各種不発弾8900余発を撤去し、物資60余万トンを輸送し、総輸送距離数は930余万キロに達し、延べ7万9000人の患者を診療し、国連から与えられたさまざまな平和維持任務をとどこおりなく完遂した。

2010年12月現在、中国人民解放軍の1955人の将兵が国連の9カ所のPKO担当地域で任務を遂行している。中国は国連安全保障理事会常任理事国の中で、平和維持要員の派遣数が最も多い国となっている。そのうち、軍事監視員と参謀将校は94人、国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)として赴いた工兵分隊は175人、医療分隊は43人、国連リベリア・ミッション(UNMIL)として赴いた工兵分隊は275人、輸送分隊は240人、医療分隊は43人、国連レバノン駐在暫定部隊(UNIFIL)として赴いた工兵分隊は275人、医療分隊は60人、国連スーダン・ミッション(UNMIS)として赴いた工兵分隊は275人、輸送分隊は100人、医療分隊は60人、国連・アフリカ連合ダルフール派遣団(UNAMID)として赴いた工兵分隊は315人である。

アデン湾・ソマリア沖での航行の護衛を実施する

国連安全保障理事会の関連決議によって、2008年12月26日に中国政府は海軍艦艇編隊をアデン湾・ソマリア沖に派遣し、航行護衛任務を遂行している。主な任務は、アデン湾、ソマリア沖を航行している中国船舶および乗組員の安全を守るほか、国連世界食糧計画(WFP)など、人道物資を輸送する国際機関の船舶の安全を守り、また、できるだけ、この海域を航行する外国の船舶の安全を確保することである。2010年12月現在、海軍は計7回、延べ18隻の艦艇、ヘリコプター16機、特殊部隊490人を派遣し、航行の護衛をおこなっている。中国海軍の護衛活動は主として航行の護送、区域パトロール、船舶に同行しての護衛などのやり方で、前後して中国船舶と外国船舶3139隻の安全を確保し、そのうち、海賊に襲われた船舶29隻を救出し、9隻の船舶のその後の護衛にあたった。

中国は航行護衛国際協力の強化に対して積極的、開放的な態度を保っている。中国海軍の護衛編隊は関係諸国、組織と情報の共有や情報の交流における常態化メカニズムを確立し、欧州連合(EU)やその他の多くの国の海軍、北大西洋条約機構(NATO)、ロシア、韓国、オランダ、日本などの護衛艦艇と司令官の艦艇搭乗相互訪問を24回行い、ロシアと合同護衛活動を行い、韓国の護衛艦艇と海上での合同演習・訓練を行い、オランダとは、将校を互いに派遣し合い、艦艇搭乗の視察活動を展開した。中国は国連ソマリア沖海賊対策に関するコンタクトグループ会合および「情報の共有と衝突の回避(SHADE)」という航行護衛活動の協力についての国際会議などの国際メカニズムに積極的に参与している。

中国と外国との合同演習・訓練

人民解放軍と外国軍隊との合同演習・訓練は、非同盟、非対抗、第三者に矛先を向けることのない方針と戦略的互恵、平等的な参与、対等に実施する、という原則を堅持している。2010年12月現在、人民解放軍はすでに外国軍隊と44回の合同演習・訓練を行い、相互信頼、相互協力の促進、有益な経験の参考、軍隊現代化建設の強化のうえで積極的な役割を発揮した。

上海協力機構の枠組み中での合同反テロ軍事演習には、メカニズム化の発展がみられる。2002年に、中国はキルギスと、外国との初の合同反テロ軍事実戦演習を行った。2003年、上海協力機構の加盟国と共同で、中国と外国による初の多国間合同反テロ軍事演習を行った。2006年には、タジキスタンと合同反テロ軍事演習を行った。また、2005年、2007年、2009年、2010年には、ロシアなどの上海協力機構の加盟国と「平和の使命」合同反テロ軍事演習を行った。 海上での合同演習・訓練が常態化している。2003年に、中国とパキスタンは中国と外国との間では初となる海上での捜索・救援についての演習・訓練を行った。中国は、外国の海軍艦艇との相互訪問と結びつけて、これまでにはすでにインド、フランス、イギリス、オーストラリア、タイ、アメリカ、ロシア、日本、ニュージーランド、ベトナムなどの国の海軍と捜索・救援、通信、編隊、潜水、護衛活動などの項目についての二国間や多国間の海上演習・訓練を行った。2007年、2009年に、中国海軍艦艇は前後してパキスタン海軍主催の海上における多国間合同軍事演習に参加した。2007年には、中国海軍艦艇がシンガポールに赴き、西太平洋海軍シンポジウム(WPNS)の多国間海上合同演習を行った。2010年、中国はタイと、外国との初の海兵隊合同訓練を行った。

陸上での合同訓練が幅広く展開されている。2007年に、中国はタイと外国との初の陸軍合同訓練を行った。近年らい、パキスタン、インド、シンガポール、モンゴル、ルーマニア、タイなどの国と反テロ、安全保障、平和維持、山岳作戦、水陸両用作戦などの科目についての合同訓練を行い、混成、合同訓練実施の新たなモデルを模索した。2009年に、衛生勤務分隊を初めてアフリカへ派遣し、ガボンと衛生勤務合同行動を行い、医療面での育成訓練と救援演習を展開し、現地の人びとに医療救助を提供した。2010年に、医療隊をペルーに派遣し、人道主義の医療救援合同作業を行い、突発事件の応急医療救援の演習・訓練を共同で展開し、緊急人道主義危機に対応する能力を高めた。

国際災害救援

政府に組織された国際災害救援の行動に参加し、国際人道主義の義務を履行することは、中国武装力が当然引き受けるべき責務である。近年らい、中国の武装力は中国政府の関係部門に積極的に協力して、被災国に救援物資を提供し、専門スタッフを派遣して国際災害救援の行動に参加した。

2002年に、アフガニスタンに救援物資を提供していらい、人民解放軍は、すでに国際緊急人道主義の援助任務を28回遂行し、合わせて22の被災国に総額9億5000万元以上のテント、毛布、医薬品、医療器械、食品、発電機などの救援物資を供与した。2001年に、北京軍区工兵連隊の将兵、武装警察総病院の医療・看護人員と中国地震局の専門家で構成された中国国際救援隊は、国際災害緊急救援行動への参与を始め、現在までに、すでに被災国へ8回赴き、救援任務を実施した。2010年1月、中国国際救援隊と人民解放軍医療防疫救護隊はハイチへ赴き、被災地の救援に参加し、人員の捜索・救助、緊急救護、衛生防疫などの任務を遂行し、現地の負傷者・患者を合わせて6500人救援し治療した。2010年9月に、中国国際救援隊と人民解放軍医療救援隊、ヘリコプター救援隊はパキスタンへ赴き、人道主義の救援任務に取り組み、現地の負傷者・患者を延べ3万4000人救援して治療し、ヘリコプターで物資60トンを送り届けた。

中国武装力は国際災害救援の交流と協力に積極的に参与し、関係諸国、関係する国際機構とのコミュニケーションと協調を密接にし、地域災害救援のメカニズムの整備と人員の育成をおこなっている。アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの軍隊と人道主義救援と災害減少のための検討作業を行い、アセアン地域フォーラム(ARF)武装部隊による国際災害救援の法律・規約を整備するためのセミナーを開催し、アセアンと中日韓の軍隊による国際災害救援についてのセミナーを開催した。

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