2010年度「中国の国防」白書(全文)

2010年度「中国の国防」白書(全文)。 中国の国防白書

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発信時間: 2011-09-23 13:44:07 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

五、国防動員と国防予備兵力の建設

中国は、平時と戦時を結びつけ、軍隊と民間を結びつけ、軍需産業を民間産業と融合させる方針を堅持し、国防動員と国防予備兵力の建設を強化し、国防動員能力の向上と国防における実力を増強させている。

国防動員組織の指導体制

憲法および関連の法律に基づいて、全国人民代表大会常務委員会は、全国総動員あるいは局部的動員を決定する。国家主席は、全国人民代表大会常務委員会の決定に基づき、動員令を発布する。国務院、中央軍事委員会はともに全国の国防動員の仕事を指導し、国防動員の方針、政策と法規を制定し、全国人民代表大会常務委員会の決定と国家主席が発布した動員令に基づき、国防動員の実施を組織する。国家の主権、統一、領土保全と安全が、直接的な脅威を受けた場合はただちに対応措置をとり、その際、国務院、中央軍事委員会は、応急措置の必要性に応じて必要な国防動員措置をとり、同時に全国人民代表大会常務委員会に報告することができる。 地方人民政府は、国防動員の仕事の方針、政策と法律・法規を貫徹、実行し、当該行政区域での国防動員の実施を組織する。県クラス以上の人民政府の関連部門と軍隊の関連部門は、それぞれの職責の範囲内で、関連ある国防動員の仕事の責任を負い、職責に基づいて国防動員計画と国防動員実施予備案を遂行する。

国、軍区と県クラス以上の地方人民政府は、いずれも国防動員委員会を設立する。国の国防動員委員会は、国務院、中央軍事委員会の指導のもとで、全国の国防動員活動の組織、指導、協調の責任を負い、主任と副主任は、国務院と中央軍事委員会の指導者が兼任し、委員は、国務院の関連ある各部・委員会と軍隊各総部に関係のある指導者によって構成される。主要な任務は、積極的な防御軍事戦略方針を貫徹し、国の国防動員の仕事を組織し、実施することである。国防動員活動における経済と軍事、軍隊と政府、人力と物力の関係の協調をはかる。各軍区と県クラス以上の地方人民政府の国防動員委員会は、それぞれの地域の国防動員活動の組織、指導、協調に責任を負っている。国防動員委員会は、事務機構を設置し、そのクラスの国防動員委員会の日常的な仕事を担っている。現在、国の国防動員委員会は、人民の武装動員、国民経済の動員、人民防空、交通面での戦争への備えと国防教育などの事務機構を設立し、軍区と地方の各クラスの国防動員委員会はそれ相応の事務機構を設立する。 2010年2月、全国人民代表大会常務委員会で審議された『中華人民共和国国防動員法』が採択され、国防動員の平時の準備と戦時における実施の基本的内容が規範化され、国民と組織の国防動員の仕事の中での義務、権利が規定され、国防動員の基本制度を完備した。

国防動員能力の建設

中国が、国防動員建設を強化する根本的な目標は、国防安全の必要性と互いに適応しあい、経済社会の発展と互いに協調しあう、突発事件への応急メカニズムと結びついた国防動員システムを確立し、それを健全なものにし、国防動員能力を増強することにある。数年らい、国は、統一的な指導、全人民の参与、長期にわたる準備、重点的建設、統一的に計画し各方面に配慮した秩序のある高効率の原則を遵守し、国防動員の建設を経済社会の発展に組み入れ、動員を加速させ、平時から戦時への転換をさせ、保障を持続させ、総合的な防御能力をちくじ向上させることに努めている。

人民の武装動員の建設は新たな進展をとげた。戦時の部隊動員計画と保障計画を完ぺきなものにし、現役部隊時の員数をそろえて編成する仕事を実行し、予備役部隊の建設を強化する。民兵は、戦時に担うことになるかもしれない任務に基づき、非戦時軍事行動における任務の必要性を結びつけて完遂し、動員メカニズムの建設を加速させる。2010年8月に新たに改正された『中華人民共和国予備役将校法』は、国が国防動員の実施を決定した後に、予備役将校を召集する権限、手続、やり方に対する新しい規定をうち出している。

国民経済動員の建設が着実に推し進められている。重要なインフラ施設を建設する中で、国防の要求も重視し、重要な技術と製品に関する軍需産業と民間経済の相互融合の度合いをたえず高めている。重点業種と中堅企業をよりどころとし、重要な製品と技術を結びつける国民経済動員の中心部分の建設配置が初歩的に確立された。重点地域、重点業種、重点的な技術・製品の潜在力調査では、重要な進展がみられ、国防の需要に立脚し、経済建設のために奉仕し、応急と戦時対応を結びつけた戦略的物資貯蔵構造をさらに最適化した。

人民の防空建設の歩みを加速させている。長期の準備、重点的建設、平時と戦時を結びつけるという方針を貫徹し、情報化の条件のもとでの、空襲に対する戦時への準備をりっぱに推し進める。軍隊と政府の合同会議と軍隊と地方との合同公務制度を完備し、県クラス以上の各レベル人民政府の人民防空機構の設置を最適化し、人民防空機関の準軍事化の建設を推進している。合同防空と区域防空の要求に基づいて、各クラスの人民防空指揮所の建設に力を入れる。人民防空システムの防災機能を完ぺきなものにし、防空と防災を結びつける作業メカニズムを健全化する。重要な経済目標の防衛の仕事を展開し、重要な経済面の防衛目標を選定し、応急緊急措置と応急補修についての案を制定する。人民防空プロジェクトの建設を都市のトータルな企画に組み入れ、法律に基づいて、民用建築物の防空地下室を修築し、都市建設の中で、人民防空・防御の要求を結実させ、人民防空と都市建設の協調的な発展を促進している。各省・自治区・直轄市で、防空防災についての広報教育と技能育成訓練を幅広く展開し、防空防災知識や自らの身を守り、互いに助け合う技能や人びとを緊急疎開させる方法などを普及させる。

国防交通動員の建設をしっかりと秩序立てて行う。交通面における戦時への備えの建設を、国の交通システム建設に組み入れ、戦略的なルートの保障能力、戦略的な投下・輸送保障能力、交通面の緊急輸送、応急補修能力を向上させる。軍隊と民間を融合する一連の発展項目を重点として推進し、これにより国防交通の戦時への備えとしての活動のトータルなレベルの向上を率先して促している。関連する業種をよりどころとし、編成、システム化した交通専門保障隊をつくり、戦略的なルートに沿って、交通業種保障隊列の建設を強化する。交通重点目標保障案と部隊の戦時への備えのための輸送保障案の制定または改正を行い、軍事関連の輸送施設と国の交通運輸施設を同時に企画し、同時に建設することを実現するように努めている。

予備役部隊の建設

予備役部隊は現役の軍人を中堅とし、予備役の将兵を基礎とし、軍隊の統一された体制・編制で編成された武装力であり、軍隊と地方の党委員会、政府の二重指導制を実施している。予備役部隊の各クラスの軍隊・政府の主要責任者、部門の主要指導者、一部の公務員と中堅となる専門技術者は、現役軍人がその任にあたる。予備役将校は、主に条件に符合した退役軍人、地方幹部、人民武装部隊の幹部、民兵幹部、民間の軍事専門技術に関係する人たちの中から選び配置される。予備役兵士は、主に条件に符合した退役兵士、訓練を受けた基幹民兵、民間の軍事専門業種と対応しうる人たちの中から選ばれ編成される。

ここ数年来、予備役部隊に関する様々な建設と改革には、新たな進歩がみられる。地域の編成組織形態を完ぺきにし、ハイテク技術業種をよりどころとしたシステム化と編成化した、人員と装備を結びつけ、広域の共同編成や区域にまたがる抜き取りによる編成など、多岐にわたる編成形態を模索している。戦時に担うことになるかもしれない任務に基づき、予備役部隊の軍事訓練と考査大綱を改正し、完ぺきなものにし、現役部隊との連携訓練、合同訓練を強化し、基地化、シミュレーション化、コンピューターネットワーク作戦訓練の展開をしている。予備役将兵は一般的には、毎年240時間の軍事・政治訓練を受けている。予備役部隊は、平時には緊急対応ができ、戦時には応戦できるという目標を中心に建設し、数量や規模を重視することから質や効率を重視することへの転換、直接戦闘に参加することから支援・保障作戦を主とすることへの転換を加速させ、また、一般兵員の補充から技術兵員の補充を主とすることへと転換し、それによって現役部隊の有力な助けとなり、国防予備兵力としての力となるよう努める。

民兵の建設

民兵は、中国の武装力の重要な構成部分であり、人民解放軍の予備兵力である。ここ数年来、民兵の建設において調整、改革を深化させ、構造の配置の調整、訓練の改革と装備の建設などの面において、新たな進展が見られた。現在、全国の基幹民兵数は800万人である。

国境警備・海上防衛戦闘部隊、軍・兵種の各種勤務保障部隊、応急部隊の建設を重点的に強化し、農村から都市と重要な交通ルート沿線へ、一般地域から重要な方向と重点地域へ、在来の業種からハイテク業種へ広げていくことに力を入れ、民兵の構造、配置をさらに合理的なものにしていく。新しい『民兵の軍事訓練と考査大綱』の要求に基づき、軍事訓練の改革を推進し、現役部隊との合同訓練や合同演習を行い、各クラスの民兵訓練基地のシステム建設を強化し、重点分隊の訓練に力を入れ、民兵の応急時には緊急対応し、戦時には応戦する能力が目に見えて増強された。防空戦と緊急・安定維持の装備確保のための建設を強化し、新型の防空兵器や装備を配備し、既存兵器の技術のグレードアップと改造を行い、兵器・装備の完全率、組合せ率がいちじるしく向上した。

民兵は反テロ・安定維持、災害救援、国境の防衛・警備、治安の共同防衛などの活動に積極的に参加し、多様化した軍事任務を完成させる中で、特色のある優位性を発揮している。毎年9万人以上の民兵が、橋梁、トンネル、鉄道線路などの警備に参加し、20万人以上の民兵が軍隊・警察・民兵による共同防衛パトロールに参加している。また、90万人以上の民兵が、甚大自然災害の緊急救援活動に参加し、200万人近くの民兵が都市と農村の社会治安の総合的維持・管理活動に参加している。

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