六、対外援助における国際協力
中国は主に二国間援助にウェートを置いているが、同時に力の及ぶ範囲でという前提のもとで、国連など多国間機構の開発援助活動をサポートし、それに参加している。また、開放的な姿勢で多国間組織とその他の国の開発援助分野において積極的な交流を展開し、実務的な協力関係を模索している。
2005年以来、中国はいくつかの国際的な多国間組織や国々と、開発援助領域における交流を展開している。また、国連発展資金調達に関する会議、国連ミレニアム開発目標に関するハイレベル会合、国連開発協力フォーラム、援助効果向上に関するハイレベル・フォーラム、主要8カ国(G8)と新興途上国5カ国(中国、インド、ブラジル、南アフリカ、メキシコ)を加えたハイリゲンダムサミットの「ハイリゲンダム・プロセス(ハイレベル対話プロセス)」、世界貿易機関(WTO)の「貿易のための援助」グローバル・レビュー会合など多くの国際開発協力に関する会議やフォーラムに参加し、その他の援助国との交流とコミュニケーションを強化し、南南協力を積極的に推進している。
中国は二国間援助を行うと同時に、一部の国際的な多国間組織や国々と、スキル、トレーニング、インフラ面の建設の上で、各自の強みを生かす三者協力や区域協力を十分に展開し、積極的な成果をあげている。1981年に、中国と国連開発計画(UNDP)が共同で、中国での発展途上国間技術協力(TCDC)プロジェクトを実施し、20数年の間に6000人以上に上る発展途上国の人びとに対して技術トレーニングを行った。1996年から、中国は国連食糧農業機関(FAO)に協力して、発展途上国に中国の農業専門家を派遣しており、2009年末までに、アフリカ、カリブ、アジア太平洋地域22ヵ国に累計700人以上の農業専門家と技術員を派遣した。また、中国は世界銀行、国連貿易開発会議(UNCTAD)、国連工業開発機関(UNIDO)など多国間機構とシンガポールとの間で、トレーニング分野で効果的な協力関係を展開している。大メコン川準地域協力の枠組みのもとで、中国はタイおよびアジア開発銀行(ADB)と共同出資し、中国・昆明とタイ・バンコクを結ぶ高速道路のラオス区間の建設を支援し、すでに2008年3月に開通している。また現在、中国、タイ、ラオスおよびアジア開発銀行は共同で中国・昆明とタイ・バンコクを結ぶ高速道路のメコン川を跨ぐ大橋プロジェクトを進めている。
当面、国際開発援助においては全般的に規模が拡大し、南南協力は急速に発展している。また、南北協力への有益かつ効果的に補充するものとなっている。中国は南南協力の枠組みの下で、被援助国の希望を尊重した上で、優位を保ちながら互いに必要な部分をカバーし、関係側との三者および区域協力の効果を十分に発揮させ、共に世界における貧困を減らしていかなければならない。
結びの言葉
現在、世界の開発環境は依然として厳しい状態にある。国際金融危機の影響は完全に消えたとはいえず、気候変動、食糧危機、エネルギー資源の安全問題、伝染性疾病など世界規模の問題が、発展途上国に新たな挑戦をもたらしている。また、国際経済発展の中に生まれるアンバランス現象が、日を追うごとに深刻になっており、南北の貧富の差が広がっている。国際社会は協力関係を強化し、共に発展のための挑戦に対応していかなければならない。
新たな情勢のもとで、中国の対外援助事業は任重くして、道遠しといえる。中国政府は、対外援助の構造を最適化し、その質を高め、被援助国の自主的な発展能力をちくじ増強し、支援の目標性と実効性の向上をはかることに力を注いでいく。中国は国際社会における重要な構成部分として、今まで通り南南協力を推進していく。また、経済発展が続く中で、対外援助の投入を拡大し、世界各国と共に、国連ミレニアム開発目標を実現し、恒久な平和、そして共に繁栄し、調和のとれた世界の建設のために、たゆまぬ努力を続けていく。