経済インフラ
経済インフラの建設は、一貫して中国の対外援助の重要な内容となっている。援助資金には限りがあるが、中国は熟練した技術と低い人件費コストという優位を十分に発揮し、その他の発展途上国のために交通、通信、電力などのインフラ施設プロジェクトを実施した。2009年末までに、中国は発展途上国のために、計442ヵ所の経済インフラ施設プロジェクトを支援した。イエメンのサナアとホデイダを結ぶハイウェイ、パキスタンのカラコルム・ハイウェイ、グワダル港、タンザニアとザンビアを結ぶ鉄道、ソマリアのべレトウェインとブラオの間のハイウェイ、マルタの乾ドック、カメルーンのラグド水力発電所、モーリタニアの友誼港、ボツワナ鉄道の改造、バングラデシュの橋梁6基、中国・昆明とタイ・バンコクを結ぶ高速道路のラオス区間、ミャンマーのメコン川流域情報ハイウェイ(GMS情報ハイウェイ)、タジキスタンのシャル―シャルトンネル、カンボジアの7号幹線道路、エチオピアのゴテラ立体橋などのプロジェクトが挙げられ、被援助国の生活及び生産環境を改善し、被援助国の経済と社会の発展のために、より良い条件をつくり出した。
公共施設
公共施設は、中国の対外援助の中でも特色のある分野である。中国が支援している公共施設プロジェクトは主に、都市施設、民用建築、井戸掘削給水プロジェクト、会議ビル、スポーツ施設、カルチャー施設、科学・教育・医療衛生施設などが含まれる。2009年末までに、中国は発展途上国のために、計687の各種公共施設プロジェクトの支援を実施した。スリランカのバンダラナイケ記念国際会議ビル、スーダンの友誼会館、ガーナのナショナル劇場、エジプトのカイロ国際会議センター、コモロのラジオ・テレビセンター、ミャンマーの国際会議センター、ケニアの国際スポーツセンター、フィジーの多目的体育館、タンザニアのナショナルスタジアムなどの公共施設とスポーツ施設などが挙げられる。これらの建築物は、現地社会の政治や文化活動のセンターであり、都市のランドマークでもある。モーリタニアの首都圏給水プロジェクト、カンボジアの井戸プロジェクト、タンザニアのチャリンゼ給水プロジェクト、ニジェールのザンデール給水プロジェクト、アンゴラの低コスト住宅プロジェクト、スリナムの低コスト住宅プロジェクトなどの社会公共福祉施設は、地元の貧困層の生活条件の改善に積極的に貢献した。
教育
中国政府は、発展途上国の教育分野への支援を一貫して重視してきた。中国の教育支援の内容は、主に学校の建設、教学設備と資料の提供、教師の派遣、発展途上国の教師や実習生の中国でのトレーニング、発展途上国からの留学生への政府奨学金の給付などを含む。
20世紀50年代から、中国は発展途上国の学生が中国に来て学習することへの支援を始めており、アジアやアフリカ諸国で一般学校、技術学校の建設や教学のために必要な器械や実験室の設備を提供した。60年代には、発展途上国への教師の派遣を行った。70年代、80年代には、被援助国からの要請に応じて、留学生を受け入れるという形をとり、タンザニアとザンビアを結ぶ鉄道、モーリタニア友誼港、タンザニア炭鉱、ガイアナ紡績工場などのワンセットになったプロジェクトを援助するために、中・上級の技術要員と管理要員の専門的なトレーニングを行った。近年来、中国の発展途上国の教育に対する援助は拡大し、農村学校約100ヵ所の建設を援助し、政府奨学金給付対象者と中国での教師のトレーニング対象者を大幅に増やした。また、被援助国のレベルのまだ低い学科の発展のために教師の派遣を増やし、発展途上国の職業技術教育や遠隔教育などの面での協力を強化することにしている。中国は、教育分野での援助によって、被援助国の教育事業の発展を促進し、被援助国の教育、管理、科学技術などの分野の人材を数多く育成し、被援助国の経済や社会発展のために教育面からのサポートを提供している。
2009年末現在、中国は発展途上国のために130ヵ所以上の学校の建設を援助した。累計119カ国の発展途上国の留学生に経済的な支援を行い、合わせて70627名の留学生が中国で各種の専門的な学習をしている。中でも、2009年には11185名の留学生に奨学金を提供し、対外援助のために1万名近くの教師を派遣し、また、被援助国の校長と教師1万余人に対してトレーニングを実施した。
医療衛生
医療衛生は、中国の対外援助の中でも重要な分野である。主要な援助内容としては、病院、医療衛生センター、マラリア予防治療センターの建設、医療チームの派遣、医療要員のトレーニング、医薬品や医療物資の提供などが挙げられる。2009年末までに、中国は、100ヵ所以上の病院と医療サービスセンターの建設を支援し、大量の医療設備と医薬品を提供し、現在30以上の病院を建設中である。
中国の援助によって建設されたのは、イエメンのタイズ病院、中国・アフリカ友誼病院、ギニアビサウのカンシュンゴ病院、ジンバブエのチノイ病院、チャド自由病院、ラオスのルアンプラバン病院など、地元の人たちが病院で診療を受ける際の困難を解決するために積極的な貢献をした。近年来、中国は発展途上国、特にアフリカ諸国でエイズやマラリアなどの伝染病やその他の疾病の予防または治療を強化しており、中国伝統医薬の研究や応用などの面での交流と協力を行い、また発展途上国のために数多くの医療要員を育成した。ここ3年間に、中国はアフリカ諸国に30ヵ所のマラリア予防治療センターを設立し、1億9000万元に相当するアーテミシニンなど抗マラリア医薬品を提供した。中国は医療分野の援助において、被援助国の医療衛生事業の発展、医療衛生条件の整備、医療技術レベルの向上に積極的に貢献している。
クリーンエネルギーと気候変動への対応
メタンガスと小型水力発電所などクリーンエネルギーの利用は、中国が早い時期から一定の優位を保っている援助分野である。対外援助の初期に、中国は、アジアやアフリカの発展途上国が、地元の農業生産と人びとの生活のために電力を提供するため、地元の水力資源を利用して中・小型水力発電所および送変電プロジェクトの実施を支援していた。20世紀80年代、中国は国連の関連機構に協力して、多くの発展途上国にメタンガス技術を伝授した。また同時に中国は、二国間援助を通じてガイアナやウガンダなどの国にメタンガス技術を伝授し、比較的良い効果を上げ、被援助国の燃料輸入への依存を軽減した。
中国の気候変動に対応する援助もだんだんと増えてきている。近年来、世界規模の気候変動問題が日ごとに深刻になり、中国はその援助範囲を拡大している。中国とチュニジア、ギニア、バヌアツ、キューバなどの国とメタンガス技術の協力を行っている。また、カメルーン、ブルンジ、ギニアなどの国を支援するため、水力発電所を建設した。モンゴル、レバノン、モロッコ、パプアニューギニアなどの国とは、太陽光エネルギーと風力発電分野において協力を行っている。その他にも、中国は発展途上国のためにクリーンエネルギーと気候変動への対応に関連するトレーニングを行い、2000年から2009年までに、合わせて50期のトレーニングクラスを立ち上げた。ここでは、メタンガス、太陽光エネルギー、小型水力発電所など再生可能エネルギーの開発・利用、林業の管理、砂漠化対策などのトレーニングを行い、発展途上国から中国に来た学習者1400名以上が参加した。