日本が集団的自衛権の解禁を閣議決定すると、米国は即座にこれを肯定・評価し、口をきわめて褒めちぎり、積極的に支持した。これは米国が集団的自衛権の解禁の黒幕であること、日本をアジア太平洋リバランス、中国けん制の急先鋒にしようとしている真の戦略的な狙いを露呈した。
日本が集団的自衛権を解禁すれば、確かに現在の米日同盟関係の強化にとっては有利である。日本はこれにより、米国のアジア太平洋におけるさまざまな役割と職責を担うことができる。米国のアジア太平洋における存在感を高めると同時に、経済的な負担を減らすことができ、米国にとってはまさに良いこと尽くしだ。しかし長期的に見ると、これは急場しのぎの危険な手段、火遊びである。
すべての問題は、次の2点に要約できる。(1)日本を正常な国にさせないのは誰か?米国が日本の主権を操作し、日本も軍国主義を放棄したがっていないことは明らかだ。この両者の結託により、米日同盟という歴史的に見ても奇妙な枠組みが構成された。(2)米日は国家戦略で、それぞれの利益になる野心を抱いている。米国は日本を使い中国をけん制し、世界における覇権的な地位を固めようとしている。日本は米国の勢いを借りて軍事力を蓄積し、臥薪嘗胆のごとく、最終的に米国の支配から逃れ、いわゆる「正常な国」になるための重要な一歩を踏み出す。これはまさに「同床異夢」で、中国けん制で重要な共通点が生まれている。ところが両国の最終的な戦略目標は大きく異なっており、最終的には国の存続をかけて対立することだろう。
集団的自衛権の解禁は、日本の国家戦略の実現にとって、単なる一歩目にすぎない。集団的自衛権の解禁が閣議決定されたが、現時点では机上の空論に過ぎず、せいぜい日本が軍事力を強化し、戦争を仕掛けるため便利な扉を開いただけに過ぎない。日本が米国に「ノー」というためには、日本の軍事力の建設・発展・強化、米日同盟における軍事指揮権の真の独立、日本にとって有利な国際戦略の時期などを待たなければならない。日本の軍事力はまだ、米国に歯向かうことのできる程度には達していない。米国の日本に対する軍事的な占領と支配も、少しも緩められていない。日本にとって有利な国際戦略の時期は、いつになるか計り知れない。日本は今後、集団的自衛権の解禁により便利な扉を開いた勢いに乗り、軍事力の発展を加速し、自衛隊を国防軍とし、核兵器を密かに開発し、核兵器の保有を公にする可能性がある。さらに中日の釣魚島などの領土主権の争いを利用し続け、中日対抗の緊張ムードを煽り、さらに意図的に挑発をし揉め事を起こすこともあるだろう。日本は米国の戦略的意向に迎合しながら、米国の支配から逃れ、軍事力を発展・蓄積し、有利な国際世論の環境と軍事力の基礎を形成することになる。
日本の集団的自衛権の解禁という烈火は、火がつけられたばかりだ。この烈火が急激に広がれば、火傷をするのは中国やアジアの隣国だけではない。その最も主要かつ最終的な目標は米国にほかならない。(筆者:胡文龍 中国軍事文化研究会常任理事)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年7月3日