四、市場配置の基礎的役割を発揮
中国で徐々に構築された社会主義市場経済体制に沿って、中国政府は人的資源開発の客観的な規律を遵守し、市場によって人的資源を配置することを改革の舵取りとする。また、労働者の自主的な職業選択権を尊重し、人的資源市場の育成と発展に尽力し、人的資源の計画的な配置から市場配置への転換を徐々に実現していく。
人的資源の市場配置メカニズムが基本的に形成される
20世紀80年代以降、公有制を主体とする多様な所有制形式で共同発展してきたが、次第に多元化する市場によって雇用する主体が形成されている。1998年から2009年まで、都市部の就業者の中で国有企業の就業者は9058万人から6420万人に減少し、都市部の就業者の総数比は41.9%から20.6%に減少した。有限責任会社と株式有限会社の従業員は894万人から3389万人に増加し、都市部の就業者の総数比は4.1%から10.9%に増加した。私営と個人経営経済の企業の就業者は、3232万人から9789万人に増加し、都市部の就業者の総数比は15.0%から31.5%に増加した。
図5 2009年の異なる所有制組織における都市部就業者の分布
20世紀80年代半ば以降、中国は計画経済体制の下で、「統包統配」(国家が労働者・職員に対して統一管理・分配する制度)型の終身雇用制度をちくじ改革、それを促進させ、会社側が職員を雇用する自主的権利と労働者側の自由な職業選択権を実行した。そして、双方向の選択、自主的な協議、労働契約の締結を以て、基本的な労働関係を確立させ、人的資源の活力と効率を高めた。社会主義市場経済体制確立の要求に応じるため、中国政府は、社会保障制度、戸籍制度、大学卒業生に対する分配制度などを改革し、労働者が自由に動けるように、体制的な障壁を取り除き続けており、地区や部門、業種に跨る労働者の流動が日を追うごとに活発化してきている。2009年、各種の人的資源サービス機構に登録している求職労働者数は9700万人に達し、就職を果たした人と転職者の数は、延べ3600万人で、2000年比でそれぞれ7700万人と2600万人の増加である。同年、全国の出稼ぎ労働者と地元で6カ月以上の農作業以外の仕事に従事した農村労働力の総数は、2億2978万人に達しており、その中の、出稼ぎ労働者の数は1億4533万人で、地元周辺で第2次、第3次産業に就業する出稼ぎ労働者数は、8445万人近くにのぼる。
人的資源サービス業が迅速に発展
20世紀80年代以来、中国の人的資源サービス業の規模の発展とレベルは絶えず向上している。サービスの領域と内容は日ごとに多元化しており、当初の、求人サービス、人事代理業務から、人材育成サービス、労働派遣、就業指導、人材の評価、管理コンサルティング、人的資源のサービス、アウトソーシングなどを含む各種サービスに発展し、比較的完備されたサービス産業チェーンを形成している。2008年、全国各種の人的資源サービス機構は、約4万9000余りにのぼり、基本的には、公共就業と人材サービス機構、民間の人的資源サービス機構や中外合資の人的資源サービス機構で構成され、多段階、多元化した人的資源市場サービス体系を形成している。
中国は、世界貿易機構(WTO)に加盟して以来、積極的に承諾の履行を行い、中国市場に参入した外資系の人的資源サービス機構の数が増加してきた。2009年、中国境界内の中外合資の人材サービス機構は、2003年の30社から160社までに増加した。