春節(旧正月)を間近に控え、浙江省南西部に位置する青田県の銀行がこの上ないほどの賑わいをみせている。同県は海外に渡って商売をする「海外僑商」が多く、彼らが1年間一生懸命働いて稼いだ外貨を故郷に送金してくるからだ。
青田県の人口は48万人。そのうち実に25万人が海外で商売を営んでおり、とりわけ欧州に多く渡っている。同県の各銀行は12月中旬から人でごった返し、たいへんな賑わいである。故郷で留守を預かっているお年寄りたちがアタッシュケースを引っ提げて押しかけ、子どもたちが海外から送ってきたユーロを引き出し、あるいはそれを人民元に換えて、国内投資や不動産購入など子どもたちの資産運用の手助けをするからである。
毎年春節が近づくと、銀行の業務量は膨大になる。資金量が巨大であるため、カウンターや床の上にはユーロの札束が積み重ねられる。また、来店者が多く、1時間前に営業を開始し、閉店時間を2時間遅らせても、業務が追いつかない。
青田県は浙江省麗水市に属するが、麗水市の他の8つの県市の人民元及び外貨預金を合わせても、青田県の5分の1にも及ばない。豊富な民間資金を所有しているため、国内のあまたの銀行は争ってこの地に支店を構える。「華僑の故郷のウォール街」と称される大通りには、300メートル足らずの距離に中国銀行、建設銀行、工商銀行など5行が軒を並べ、昨年1年間でさらに中信銀行、温州銀行など多数の銀行が支店を開設した。
金融業に関する規定によれば、青田県に支店を開設するためには、まずは青田県が属する麗水市に分店を開設しなければならない。つまり、青田県に支店を開設した銀行は、麗水市に分店を開設するコストも惜しまなかったというわけである。しかも、外貨預金誘引の熾烈な競争に打ち勝つために、青田県の各銀行はユーロの為替レートを中国銀行の公定為替レートより1~2ポイント高めている。