「中・高級品を含む商品の輸入関税の更なる引き下げは、時代の大きな流れに沿ったもので、各部門もこの点については共通認識を持っている。」これは、商務部の姚堅報道官が15日の定例記者会見で発言した内容である。「新華ネット」が伝えた。
中国の巨大な高級品購買力は今、世界中から注目されている。世界高級品協会が6月9日に発表したデータによれば、中国人の海外消費は国内市場の4倍、消費の海外流出が深刻だ。上海の中国市場研究会社の推計では、2010年に中国人旅行客が海外で消費した金額は540億ドル、2011年の海外旅行は更に12~14%増加する見込みだ。易趣網(イーチネット)では、ネット購入代行サービス業務をスタートしてから毎月の成約数が3~5倍の速度で成長を続けているというデータがある。また、2012年には海外ネット購入代行の市場規模は480億ドルに達するとの見方もある。
そのため、輸入関税の引き下げを含む様々な措置を採り、高級品の消費を国内へ引き戻すことが、中国経済の発展、特に輸出と投資だけに依存した今の状態を、輸出・消費・投資の三位一体型の経済発展に転換するために、非常に重要な意義を持つことになる。しかし、輸入関税の引き下げは、それだけでは問題を解決できない。なぜなら、輸入関税による国内製品の高騰だけが、高級品を含む消費の海外流出を引き起こしているわけではないからである。
第一に、中国の国内消費市場の品質、信用低下が大きな原因となっている。多くの人が国内で偽物をつかまされることを心配し、ひとたび海外へ行くチャンスがあれば、そこで散財してしまうのだ。
第二に、中国では「未富先奢(豊かになる前に散財する)」の動きが深刻だ。海外で散財する者の一部が、汚職官吏を含む不正な手段で富を得た者達である。彼らはその富をどのように社会に還元するかは考えておらず、国内の方が、品質がよい物でも海外へ行って消費してしまうのである。
第三に、国内商品価格が海外より高いのは、関税のせいだけではない。輸入化粧品で言えば、6.5~18%の輸入関税以外に、17%の増値税(付加価値税)、30%の消費税など、累計最大60%もの税を払わなければならない。ここに更に高額な通行料、入場料、物流費用、及び国内増値段階の流通税、所得税が上乗せされ、「外賎内貴(外国で安いものが国内では高価なものになる)」現象を引き起こしている。あるデータによれば、腕時計、バッグ、衣料、酒、電子品の5製品20ブランドの高級品で、内地市場価格は対香港で45%、対米国で51%、対フランスで72%も上回っていたという。そのため、輸入関税の引き下げは、高級品消費の海外流出に一定の効果はあるだろうが、大きな転機とはなりえない。
消費の海外流出は、高級品や富裕層の海外消費だけではない。他にも、海外粉ミルクの購入代行や、沿海地域の住民が香港やマカオで醤油、食塩等の生活必需品を購入している。中国資産の海外消費はもはや予断を許さない深刻な状況となっている。そして、その最も大きな原因は、価格的要素ではなく、信用と品質の問題なのである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年6月19日