「中国経済と日本企業2010年白書」要訳
1. 日系企業のビジネス環境
09年、世界経済はマイナス成長となったが、中国は8.7%成長を実現した。金融危機で欧米向け輸出が低迷する中、公共投資や消費刺激策などにより内需を拡大し、成長を維持した。金融危機後の世界で回復をリードする中国に、日本企業は高い関心を持っている。
同時に中国は、世界各国の企業が最も期待を寄せる市場でもある。また、中国地場企業の台頭も著しく、競争は厳しさを増している。さらに近年は、労務・税務をはじめとするコストも大きく上昇しており、中国のビジネス環境は大きく変化してきている。
ジェトロが09年に実施した中国進出日系企業の経営実態調査(1,367社、回答率46.6%)によれば、ビジネス環境の変化などを背景に、在中国日系企業における黒字企業の割合は年々減少している。
日系企業が挙げた経営上の問題点として、最も多かったのは「賃金の上昇」であった。2010年に入ってからも、地方政府による最低賃金引き上げや「民工慌」といわれる労働者不足により、労務コストは増加傾向にある。その他、「通関等の諸手続きが煩雑」、「競合相手の台頭」、「通達・規則内容の周知徹底が不十分」および「税務負担の増加」を問題点として指摘する企業も多い。
しかしジェトロのアンケートによれば、日本企業にとって中国は、最も重要な事業展開地域先であり、今後1~2年について、中国事業を「拡大」すると回答した日系企業は、前年比1.7ポイント増の61.9%と、引き続き高水準を維持している。事業拡大の具体的方針としては「新規市場の開拓(営業/販売ネットワークの拡充」が68.3%と最も多く、「生産品目/サービス内容の多角化(分野の拡大)」(43.6%)、「追加投資による既存の事業規模拡大」(39.9%)、「生産品目/サービスの高付加価値化」(36.3%)となっている。また、「設計・研究開発/企画機能の強化」を挙げる企業の割合も23.5%と高く、中国は研究開発、生産拠点としても位置づけられている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年4月2日