本来は「Win-Win-Win」
日本の法令は外国人研修制度を「開発途上国の人々が来日して研修することで、日本の先進的な技術や技能を学び、帰国後、母国の技術発展に貢献する」と説明している。理論上、研修制度は、①日本の中小企業の労働力不足を解決し、②途上国の生産技能の発展に寄与し、③研修生本人にとっても有益という「Win-Win-Win」の制度である。しかしながら、近年の日本国内の深刻な労働力不足にともない、きつい仕事や汚い仕事に従事する人がいなくなる中、研修制度は一部の違法企業や個人が安価な労働力を募集して、そこから搾取する重要な手段に成り果てた。
この制度の歴史は1960年代後半にまで遡ることができる。当時、日本の経済は高度成長期にあり、研修生を導入したのは主に海外進出したグローバル企業や合弁会社であった。これらの企業は、海外での競争力を高めるために、現地社員を日本に招聘し、短期研修を行ったのである。
このやり方はなかなか効果的で、政府から高い評価を得た。1991年、財団法人国際研修協力機構(JITCO)が設立され、外国人研修生の受け入れ業務を全面的に担当・指導することとなった。1993年、研修制度を基礎として、技能実習制度が設立された。日本は毎年約8万人の外国人研修生を受け入れているが、JITCOはその約70%を担当している。