今回の中日韓首脳会談に関する報道に、「東アジア権力ゲーム」の対戦相手である朝鮮も引き合いに出された。日本『毎日新聞』は、朝鮮の金正日総書記が中日韓首脳会談の開催期間中に中国を訪問したのは、中朝関係の緊密ぶりを見せつけ、中日韓の分断を図ろうという意図があると疑っている。ロイター通信などの西側メディアは、温総理が22日に「話し合いは朝鮮半島の核危機を解決する唯一のルート」と強調したことに注意している。
中日韓3国の合計GDPは世界の20%を占め、3国の合計人口は世界の約22.3%を占める。それに国際政治舞台への登場率が極めて高い朝鮮を加えた東アジア4国の複雑な関係は、一部の国際アナリストに「東アジアは世界の政治の次の大舞台になる」と感じさせている。
米『フォーブス』のウェブサイトは21日、「新しい運命のスタート」と題した文章の中で、311地震は東アジアの政治構造に重要な転換点をもたらしたとの見解を示した。作者のハーナー氏は数カ月前、「チャイナリスク」は日本企業だけが直面する問題だと思っていた。ところが、温家宝総理が経済貿易の代表団を連れて日本を訪問したとき、「ポスト311時代に、日本企業に別の選択がないばかりか、中国に頼る必要があり、日本の国家全体がそうなる」というこれ以上ないはっきりしたことが示された。「『日米同盟はアジア・太平洋地区の安定の礎石』だが、それと同時に中国と安定した互いに信頼できる関係を築くことは日本の震災復興に極めて重要で、これは日本が世界の大国としての地位を守れるかにかかわってくる。震災後、日本は比較的弱い戦略的立場に立たされ、日本にとっての中国の重要性は中国にとっての日本の重要性より高い。新しい中日関係については、中国は与えるものは少なく、要求するものは多く、さらに得るものはもっと多い」と、ハーナー氏は話す。
『環球時報』の先週の取材に対し、日本の官僚も同様の考えを述べた。彼らは記者に、「今回の大地震は一部の日本人の意気込みに影響を及ぼし、日本が高成長期に積み重ねた精神面の優位性を揺るがした」という印象を残した。あるアナリストは以前、力を持つ中日両国が東アジアで共存するという構造は少なくとも5~10年続くが、今回の地震は日本人の日本が世界2位からアジア2位になるという心の変化を速めたとの見方を示している。
さらに、日本メディアが温総理の今回の訪日を高く評価していることに注意したい。日本『時事通信』は22日、「成果収めた『被災地外交』=対日関係は安定軌道へ」と題する文章の中で、「温首相が何より重視したのは、昨年の漁船衝突事件で悪化した日本の対中感情を好転させるための『対民工作』だった」とした。温総理が日本の被災地を視察する様子は中国国内での災害視察と同じで、このような行動は功を奏し、また、「自分の決断」とする福島訪問は対日外交で歴史的に名声を残すだろうと見られている。
日本『読売新聞』は、温家宝総理と韓国の李明博大統領の被災地訪問は、日本の国民の中国と韓国に対する親近感を高めたに違いないと伝えた。温総理は宮城県名取市の被災地を訪問し、廃墟に花を捧げ、福島市の避難所で菅首相と李明博大統領とともに福島県産の野菜と果物を食べるなどして、日本食品の安全性アピールに協力した。NHKは、菅首相は22日に中韓首脳の被災地訪問に感謝の意を示したと報じた。
中国に対して強硬な『産経新聞』でさえ同日、温総理の訪問に対し日本の被災者から反応があったことを伝えた。報道によると、李明博大統領は、被災地の子どもたちを励ますメッセージが書かれた扇子を持って訪れ、子どもたちの頭をなで、被災者と握手した。温総理は子どもたちにパンダのぬいぐるみをプレゼントし、膝をついて高齢の被災者と話をするなどした。温総理と話をした76歳の女性は、「こういうことを言うのはあまりよくないけど、菅首相より人情味があるのは確か」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年5月24日