「フクシマ50」多くが充分な安全教育を受けず
資料写真:原発事故が発生後、応急修理をする「フクシマ50」
原発事故発生時、50名が原発に残って注水作業に当たっていた。その後も交代作業員が順々に処置・対応に送り込まれている。危険を顧みず作業を続けた50名の献身ぶりが海外でも絶賛され、今でも「フクシマ50」と讃えられている。だが、ロイター24日付配信の特報「日本の原発作業員は使い捨て(Japan's "throwaway" nuclear workers)」には、東京電力の現社員および元社員、医師、専門家20名以上に対する取材内容が記載されている。「フクシマ50名」の行動の背景には、日本の原発業界のずさんな安全管理が垣間見られる。危険な環境における作業の監督管理が徹底されておらず、危険はすべて作業員らが負わされているのだ。
福島第一原子力発電所およびその周辺エリアでは、注水冷却のため、高濃度の放射性物質を含む水が大量に貯水されている。東京電力は大量の人員を動員し、汚染水の浄化に当たらせているが、今ではオリンピックに使用される競技用プール40個分の水量になっているという。こうして動員された作業員の多くは、東京電力が臨時に雇った非正規社員であり、充分な安全教育や人体の防護措置などを採っていなかった。危険性の高いエリアに入る作業員の中には放射線測量計を身につけなければならないことすら知らなかった者もいたのである。防水の長靴を履かずに作業した2人は、高濃度の放射能に汚染された水に足がぬれ、その結果入院となった。
臨時に雇い入れた労働者は多数に上るため、東京電力は作業員の安全のための対応を充分に採れなかった。事故発生から3カ月後になっても、復旧作業に従事した者のほとんどが放射線防護の国際標準的な安全教育を受けていなかった。6月下旬の時点で、緊急時の被ばく線量の上限である250ミリシーベルトを超える作業員は9名、100ミリシーベルトを超える作業員は115名になっている。最大の被ばく線量が測定された作業員2名の被曝線量は678ミリシーベルトと643ミリシーベルトであった。
トラック運転手として採用、フタを開ければ原発の復旧作業者