次に、高齢人口の増大により人口の扶養比率は変わり、被扶養人口の増加は現有の労働人口の負担を重くする。80年以来、日本の家庭のうち子どものいる家庭は大幅減少の傾向にある。05年の子どものいる家庭(母子または父子家庭を含む)は全国の家庭総数の38.3%を占めており、10年の65歳以上の高齢者の家庭の中で子どもがいるのは22.3%に過ぎない。高齢化社会では、家庭構造はほとんど同じような変化の経緯をたどりながらすすんでいく。こうした家庭構造の変化は直接、伝統的な「子を養育して老後に備える」という考え方に影響を与える。家庭の規模と構造の変化は、家庭の老人扶養という機能をかなり弱めるため、人びとは社会に様々な専門のサービスを求めることで、その機能の不足を補うことになる。
第3に、高齢化社会では、人びとは老後のために貯蓄比率を絶えず高める。社会福祉保障制度が完備していない時には、「貯金で老後に備える」ことがやむを得ない選択となる。日本という社会福祉が充実しているとずっと言われてきた国では、政府の年金国庫の赤字が10兆円に達し、絶えず給付金額が減らされているため、だれもが危機感を抱き、若いころから自分で養老資金を用意せざるを得ない。60歳以上の高齢者層の貯蓄はずっと全国の個人金融資産総額の半分を占めており、07年のデータでは54%、約756兆円にのぼり、うち「過剰貯蓄」と言われる金額は100兆円余り(NIRA研究報告による)。だが、退職金による代替率が年々減少していることから、「貯金で老後に備える」傾向は一段と進むだろう。高齢者の高貯蓄低消費が、国内総生産(GDP)に比較的鮮明なマイナスの影響を与えるのは確かだ。
また、日本と一衣帯水の中国が高齢化社会を迎えつつあることにも目を向けなければならない。高齢化による中国経済への影響が徐々に現われ始めている。いかに老齢化に対応するか、日本の経験と教訓を汲み取り、経済の持続可能な成長を維持するか、早急に中国政府の課題に取り上げる必要があるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年7月11日