今年3月11日に起こった東日本大震災から半年が経過した。地震・津波被害により冷却機能を失い、無残な姿に変わり果てた福島第一原発では、復旧に向けた作業が今も全力で行われているが、一体いつになれば収束するのか、今の時点では見通しは立っていない。
◇原発内の汚染水 増える一方
原子炉の冷却方法として進めてきた格納容器を水で満たす「水棺」方式を断念した東京電力は、5月中旬から、高濃度汚染水を浄化し、冷却水に再利用する循環式の冷却方法を採用している。だが、循環注水冷却を行うための汚染水処理装置は、稼働前から不具合が相次いでおり、8月中旬時点で、水漏れなどの故障で運転を停止したこと30回以上におよんでいる。東京電力が9月7日に公表した内容によると、その1週間における循環冷却稼働率は90%に達し、稼働以来の最高値を見せた。だが、1時間単位の汚染処理能力は40トンにも達していない。東京電力が当初構想していたシステムの汚染水処理能力は1,200トン/日となっているにも関わらず、である。
汚染水処理のトラブルが重なり、本来は減少するはずの施設内の放射性物質汚染水はじわじわ増えている。福島第一原発における汚染水の総量は6月下旬で約11万トンであったが、8月末には11.3万トンに増えている。9月中旬にはタービン建屋にたまった高濃度汚染水の水位があふれ出す恐れのない高さにまで下がると東京電力は予測しているが、実際には、要観察状態であることには違いないようだ。
◇損なわれる作業員の健康