写真:女川町の海岸に残る、津波に破壊された建築
テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、クーラーなど家庭用電気製品一式が付いた仮設住宅も少なくない。しかしそれらがみな、約10平米しかない場所に押し込められている。
夫婦が生き残り、二人で生活できていることは何よりだが、暮らしはとても不便だと吉野嘉明さんは言う。特に買い物や病院までが遠いことが難儀だという。
「また地震や津波があれば、こんな薄っぺらな仮設住宅など吹っ飛んでしまう」と老夫婦は心配する。
「いつまでここに住まなければならないのか。先のことは分からない。新年を準備する気にもなれない」と遠くを見ながら吉野さんは言った。