東日本大震災とこの1年の日本の巨大な変化

東日本大震災とこの1年の日本の巨大な変化。

タグ: 東日本大震災 1周年

発信時間: 2012-03-03 13:26:23 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

日本は現在急激な変化の中にある。古いモデルは消え去ろうとし、新たな態勢が形成されつつある。天災によって社会変化が起きるわけではないが、様々な社会矛盾が明るみに出ることは往々にしてある。昨年3月11日の東日本大震災によって、世界は様々な面で日本社会の巨大な変化を目の当たりにしている。(文:陳言・日本企業(中国)研究院執行院長)

被災地を訪問してみて、これほど深刻な地震と津波の中で、日本の被災者がどう助け合っているのかを直に目にした。「他の地区の人に先に救援物資をあげてください。私のところはまだやっていけますから」。食料や水を届けに来た車を前に、自らは食料を受け取らず、もっと困っている人々の所へ行かせた人は1人ではない。実は彼ら自身もすでに長い間、少しの食べ物を数人で分け合っており、それもすぐに底をつきそうな状態だったのだ。

だが東京などの大都市では、食料や水が不足していないにも関わらず、スーパーに行っても小さなミネラルウォーター1本以外、ほぼ何も買えない状態が数日続いた。被災地よりも不足していたのだ。だが実際には、大都市の住民の多くは自宅に数週間、あるいは数カ月間分の食糧を備蓄していた。

原発事故後、福島県の瓦礫は放射能の有無に関わらず、処理施設が不足し始めた。一部の地方の人は福島県民を見ると、伝染病患者がそばに来たかのように接触を避けたがった。同じ日本人がこの時、あるべき思いやりを欠いていたのだ。

被災地に足を踏み入れた人はみな、こうした社会の変化を身をもって感じた。だがより深いレベルの変化は、人々が容易には観察できない場所に存在する。東日本大震災から1年を迎えるにあたり、振り返ってみると、この変化の強烈さに気がつく。

 

 ■変わらぬ原発政策

 夕方の東京で、節電のため停止中のエレベーターを通り過ぎて、階段でプラットホームに入ると、今でも照明が北京よりずっと明るいことに気がつく。遠くの高層ビルのネオンは相変わらずまぶしく輝き、本当に節電中だとは思えない。

 東日本大震災から1年1カ月の時点で、日本の原発は13カ月ごとの定期検査のために全て停止する。原発所在地の住民と地方自治体が同意しないと、再稼働はできない。30%前後の電力を失うことは、すでに現実的問題だ。だが日常生活では、問題解決への緊迫感は何ら感じられない。

 原発がなければ日本社会はより良く、より安全になるかもしれない。街頭ではたまに数十人が全原発の停止、完全廃止のスローガンを叫んでいる。20年かけて少しずつ原発を減らすべきだと主張する人もいる。もちろん、より政府に立場の近い大手紙は原発知識の普及を繰り返し、原発は安全でクリーンで安定していると訴えており、まるで1年前に少なからぬ東京都民をパニックに陥らせた福島第1原発事故はなかったかのようだ。

 日本政府、経済界も内心では原発の継続的推進を望んでいる。イランや朝鮮の遅い歩みを見てみるといい。日本は原発開発の難しさを誰よりもよくわかっている。既存の原発を廃止すれば、電力問題は解決できたとしても、核技術でのリードは保証できない。国の安全保障と比べれば、福島の問題は軽いのだ。電力需要に関わらず、国の安全保障の観点から、日本は何が何でも原発を維持するだろう。

 東日本大震災によって確かに補いがたい損失を受けたが、それでも原発は維持していく。このような激変の中にある日本にとって、唯一の変わらぬ国策がこれだ。民間シンクタンクによる福島第1原発事故の調査は、このような国策の前では無力に映る。

 

 ■変化の経済モデル

 経済面では自動車、半導体、テレビなどの収益減や赤字転落がこの1年来の最大の変化だ。

 1つのシステム内の閉鎖的技術によって国際市場で優勢を獲得するモデルは、すでに限界に来たようだ。生産、市場面だけでなく、技術面でも「世界はフラットだ」。一企業が技術やブランドの独占によって高収益モデルを長期間維持することは不可能となっている。情報化時代の技術には様々なインターフェース、コンセプトの全く異なる技術とのインターフェースが必要だ。このような技術なしに国際市場で生き残ることは難しい。

 閉鎖的な日本のテレビ、半導体企業は投資が巨額で、回収は困難だ。また、日本製品は基本的に一企業グループ内の最高技術を集めたものであり、他の技術とのインターフェースは十分でない。孤立化は日本の家電企業の収益に大きな影響を与えている。自動車の部品調達先は系列企業が中心だ。東日本大震災とタイ洪水の後、日本の自動車企業はたちまち収益が悪化した。

 日本の産業には新たなアップグレードが必要だ。現状を見ると日本は先端部品、レアマテリアル、新エネルギー、医療機器、社会インフラなどで技術的優位にある。完成品を最終目標とすることを止め、他国の企業への部品提供、または医療分野での市場開拓に専念すれば、収益は大いに期待できる。あるいは企業間提携の道を歩み、集団の強みで新興国の社会インフラ市場を獲得することも展望は明るい。

■変わらぬ政治不信

 日本企業の力を結集して国際市場を開拓するには、政治家が役割を発揮して、外交方針・路線を速やかに調整することが必要だ。だがアジア重視の外交方針を確立するには、なお長い時間を要する。

 震災後の日本経済の調整能力、行政改革など各方面から見て、民主党政権と自民党政権に余り大きな違いはない。日本国民は自民党に不信を抱いたが、今では民主党への不信が広がっている。国民の支持を欠く中、政治改革を行い、国民の政治不信を払拭するのは容易ではない。

 国の政治の力が落ちたことで、地方の政治家が顔を出す機会が自ずと増えた。大阪市長や名古屋市長は国民の目に政治の新星と映っている。地方経済の振興や地方政治の改革の成果は非常に限られているのに、国の政治改革に対する大阪市長や名古屋市長の発言は特殊な影響力を備えている。地方自治体の首長の言動への注目は、国の政治への国民の不信を別の側面から物語っている。

 市民生活、エネルギーの変化、企業の構造調整、地方自治体の首長の人気など各方面から見て、日本には現在巨大な変化が生じている。だがこの変化がどのような潮流を形成するのかはまだはっきりしないし、日本という国の今後の行方もよく見えてこない。(編集NA)

 「人民網日本語版」2012年3月2日

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