米国の「アジア太平洋回帰」戦略の発表から2年あまりの間に、ヒラリー・クリントン米国務長官は何度もアジアを訪問しており、毎回はっきりした目的があるように思う。では、今回の訪問の目的は何か。中央電視台(CCTV)特約コメンテーターの宋暁軍氏は、「簡単に言うと、対外的には味方を引き込み、対内的には共和党が民主党をつぶさないようにするため」だと見ている。
米国は日本を重視しすぎ
宋暁軍氏は、オバマ氏の大統領就任後の4年間、米国経済は不調だと話す。このほど開かれている共和党全国大会でロムニー氏の支持率が高まる中、民主党は「医療改革」と「アジア太平洋回帰」という二大施政方針を見直し始めた。「アジア太平洋回帰」という外交主軸はヒラリー氏が主導するもので、現在よい効果は得られていない。米国が日本を重視しすぎていることは、アジア太平洋情勢を混乱させ、ロシアと韓国に懸念を与えたと同時に中国でも大きな反発を引き起こした。ヒラリー氏はこのような局面に対応しなければならず、今回ロシアと中国を訪問することになった。
米国が「日韓の歴史」を妨害
宋暁軍氏によると、日韓の島争いは米国に不快感をもたらした。今回、日本との争いで韓国は天皇陛下を持ち出し、朝鮮半島が1910年から45年にかけて日本の残酷な統治下にあったことを思い起こさせた。日本は加害者で、韓国は被害者である。本来なら加害者が罰を受け、被害者には賠償があるはずだが、米国はこれを妨害した。
冷戦開始後、ソ連の力の増強を防ぐため、米国は韓国で旧財閥と元士官を支援したため、日本の犯罪行為の清算を求める人はいなかった。また当時、米国は日本も支援した。現在は「アジア太平洋回帰」を実現するため、米国は韓国と日本に頼る必要があり、これが結果的に「混乱」を招いた。
今回ヒラリー氏が韓国と日本を訪問しないのは、米国が当時「見事」な役目を果たせなかったためだ。韓国を訪問すれば、米国の不公平なやり方を非難する人が現れるに違いない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年9月3日