中国側の代表団は、招待を受けて出席した。中川氏は会談中に心にもないことを言い、さっさと会談を終わらせた。韓国側が退席すると、中川氏は筆者との一対一の会談を求めた。筆者が着席すると中川氏はすぐに、中国が東中国海で春暁ガス田を開発し、日本の領海を侵犯していると非難した。筆者は穏やかに、中日の領海の区分に関する主張が食い違っていることを説明した。中国側は大陸棚の自然な延長を主張し、沖縄トラフを両国の領海の境界線としているが、日本側は中間線が原則として領海を区分すると主張している。この主張の不一致については、外交ルートを通じ、友好的な協議により解決策を見出すべきだ。中国は日本の中間線に関する主張を認めていないが、友好的な協議のために、中国のガス田開発は日本側が主張する中間線の中国側で行なっており、最も遠い天外天でも中間線まで5カイリの距離があり、日本の領海の権益を侵害したという問題は存在しない。筆者は、中日両国の政治家は一衣帯水の国家友好関係の高みから、同問題を適切に解決すべきだと強調した。問題が解決されるまでは、協議により問題を棚上げにし、共同開発を進めることが可能だ。
1980年代にも、中国はこのような主張をしていた。その後さらに数回の海上油田・ガス田調査の世界的な公開入札を実施し、多くの外国企業もこれに参加した。上述した会談の前に、日本側からは反対意見が出されていなかった。
私が我慢強く説明したにも関わらず、中川氏はすごい剣幕で食ってかかった。中川氏はテーブルに置かれていたオレンジジュースを手に取り、ストローをコップの中央に置き、もう一本のストローで自分側のジュースを吸い、「おたくら中国人は、こうして我々日本側の石油とガスを吸い取っているんだ」と語った。