安倍晋三首相は21日、「内閣総理大臣」の名義により、第二次世界大戦のA級戦犯が祀られている靖国神社に、「真榊」と呼ばれる供物を奉納した。
中国国際問題研究所客員研究員の王泰平氏は、新華社の取材に応じた際に、「安倍首相は就任後、国内外の反対の声を顧みず、靖国神社問題で強硬な態度を示したが、これは自身の一貫した理念を示している。安倍首相が昨年12月に靖国神社を参拝すると、米国はその行為に対して失望を表明した。オバマ大統領の訪日を控える中、再び供物を奉納したことはある意味、安倍首相が完全に米国の言いなりになっているわけではないと言える」と指摘した。
中国社会科学院日本研究所研究員の楊伯江氏は、「安倍首相はオバマ大統領の訪日前に靖国神社に供物を奉納したが、これには国内政治の要素がからんでいる」と分析した。
楊氏は、「安倍首相は昨年12月、国内外の圧力を顧みず靖国参拝を強行したが、これは首相の身辺に多くの右翼・保守勢力の取り巻きが存在することが一因となっている。これらの人物は安倍首相に圧力をかけ続け、靖国参拝を促した。安倍首相が2007年9月に就任から1年未満で退任しても、これらの取り巻きは身辺から離れず、2012年9月の自民党総裁選に力を貸した。あの時の勝利は、2012年12月に自民党が衆議院選挙に勝利し、政権を奪還する基盤となった。これらの取り巻きは、安倍首相の再任の功労者だ。ゆえに安倍首相は右翼・保守勢力にお返しをし、変わることなき政治支援を得た」と語った。
楊氏は、「最近の各方面からの圧力により、安倍首相は歴史認識問題でやや軟化している。例えば3月14日に、日本軍による従軍慰安婦の強制連行の事実を認めた河野談話を見直さず、内閣が村山談話・小泉談話を含む、歴代政権の表明した立場を全面的に受け継ぐと表明した。安倍内閣は3月25日に、歴代内閣の歴史認識に対する立場を完全に継承すると表明した」と指摘した。
これらの姿勢の軟化は、必然的に安倍陣営内の反発を招いた。右翼・保守勢力は、安倍首相が「やり過ぎだ」と批判した。「やり過ぎ」とは、「弱すぎる」ということだ。これらの人物は安倍首相に対して、歴史問題で強硬な態度を示すよう求め続けるだろう。
安倍首相は21日に靖国参拝に供物を奉納したが、これは歴史問題と靖国神社問題に関する、安倍首相の歴史観と政治論が明確であり、同時に間違っていることを示している。自ら参拝せず供物を奉納したことは、安倍首相が支持者と反対者などの要素の間で、バランスを求めていることを意味する。靖国神社参拝に対して、安倍首相は一種の「執念」を持ち続けている。その一方で日本の在任中の首相として、隣国や米国からの圧力に直面し、日本国内の正義の声にも直面しなければならない。ゆえに安倍首相の今回のバランス化に向けた動きは、各勢力の要求を満たし、それぞれの機嫌を損ねるには至らないかのように見える。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年4月22日